「ナマエー!街に食い物調達に行くから手伝ってくんねー?」
『ええ?またー?』
「いいじゃねーか、減るもんじゃなしに!」
『減るわよ!私の時間と体力が!確実に!』


街に食料を調達しに行くのは、
一週間に一回で9人が
ローテーションで係りをしている。

しかし、赤也は毎回私を誘うから、
私は9回中2回も回ってくることになる。


『やだよー、面倒くさいなぁ。』
「まあ、そう言ってやるな。赤也はお前特に懐いている。信頼されている証拠だ。」
『柳…』


柳は赤也や私の面倒をよく見てくれるし、
みんなの体調管理もしっかりしてくれる。
いわゆる、お母さんポディションだ。


『柳が!毎回!そう言うから!単純な私はその気になっちゃうの!』
「なんだ、バカな自覚はあったのか。」
『バカ?!そんなこと思ってたの?!』
「いや、まさか。単純であることは純粋とも言える。お前の美点でもあるだろう。」
『え、あ…そ、そう?』


照れくさくて、両手で頬を覆うと、
柳がいつもみたいにフッと笑った。


『…あ!まさかまた丸め込まれた?!』
「なんのことだ?さっぱり分からんな。」
「ナマエ!早く来いよ!行くぞ!」
『えー、もう!仕方ないなぁ…。今行くって!柳覚えときなさいよー!』
「ああ、行ってこい。」


やっぱり今週も赤也と二人で
お買い物になってしまった。

でも赤也が

「今日もサンキュな!」

なんてあの明るい笑顔で言うから、
まあいいか、って毎回思っちゃうんだよね。


『いいよ。そのかわり、私の欲しいもの一つ買ってよね!』
「えーマジかよ。……って嘘だよ!買うから!睨むな!」
『やったあ!』


村で育てた作物を売ったお金で
幸村と柳に書いてもらった
買い物メモリストの
食料や道具や肥料を買った。

買い物が終わると赤也は約束通り
私の欲しかったかわいいアクセサリーを
プレゼントしてくれた。

『かわいい…、ありがとう!赤也!』
「すぐに壊すなよ?」
『壊さないよ!』


たくさん食料を乗せた、
一人では重たい重たいリアカーも、
赤也と二人なら、苦ではなかった。


隣の村の青学村まで来ると、
数少ない女友達の桜乃ちゃんが
野菜を運んでいるところだった。


『桜乃ちゃん!』
「あ、ナマエちゃん!おかえりなさい。かわいいネックレスだね。」
『いいでしょ?赤也に買ってもらったの!』
「うん、素敵!」
『帰ったら、みんなにも自慢しようっと!』
「いや、やめてくれ!」
『なんでよ?』
「からかわれるだろ!」
『??』


止められたけど、やっぱり
我慢できなくて村に着くや否やみんなに自慢した。
ジャッカルは私の頭を撫でて、
よかったな、と言ってくれた。

赤也は仁王とブン太に何か言われて暴れていた。
柳生が止めに入っても収まらず、
それを見て真田も柳も幸村も笑っていた。

なんだか、とても幸せだと感じた。


『今日いっぱい食べ物買ったし明日はご馳走だね!』
「そうじゃのう。パーティでもするか?」
「いいですね、久々に真田くんの手料理も食べたいですし。」
『あ!食べたい!弦一郎の料理美味しいもん!』
「構わんが…いいのか?幸村」
「…まあ、いいんじゃないかな?」
「俺も賛成だ。」
「じゃあ決まりっスね!」
『やったあ!パーティ♪パーティ♪』



幸せなこの雰囲気から、この後起こる
恐ろしい出来事など誰が想像できたでしょう。

私たちは間違いなく大切な家族でした。

だから今でも信じられません。

私たちが楽しみにしていた
みんなでパーティをする日は
永遠に訪れることはありませんでした。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -