_いいか、真田。
人狼は一度その本性を晒すと、
毎晩必ず人を一人襲うようになる。
一日に一人犠牲になるってことだ。

夜に全員に鎖をつけたって無駄だからな?

どういうわけか、なぜか人狼は
必ず夜に犯行を起こせるらしい。

まあ、つまり、放っておけば、
2週間以内にこの村は全滅だ。

また、もう一つどういうわけか、
人狼は昼は人を襲うことができない。

だから、被害を最小限に抑えるには
昼の間に疑わしい人間を一人
話し合って処刑してしまう必要がある。


…ああ、分かっている。
俺だってこんな方法提案したくねぇよ!

たしかに、この方法では冤罪…
人狼以外が死ぬ可能性も決して低くない。

だがな、何もしなければ全員死ぬんだ!_



















跡部の言葉を伝えると、案の定、
みんなは信じられないという表情だった。

当たり前、だ。


『真田…何を言ってるの…』
「……」
『ねっ、ねぇ!うそでしょ?!そんなことしないよね?!ね?!』
「………っ」
『いないよ!この村に人狼なんて、絶対にいないもん!』
「ああ、もちろんだ。俺だってそう思っている。」
『…それなら、どうしてっ』


ガタッ


「?」


急に仁王が立ち上がって
混乱するナマエを俺から引きはがした。



「今日1日様子を見るのはどうじゃ?」
『様子…?』
「人狼は夜に必ず襲う。なら、1日経っても何も起こらなければ、それは人狼はいないっていう証拠にならんか?」
「…たしかに、そうかもしれません。」



ジャッカルや丸井も なるほど、と
納得しているようだった。
それを見て幸村も頷いた。


「俺もそれに賛成だな。この中に人狼なんているわけがない。そうだろう、真田?」



じゃあ誰も処刑しなくていいんだね、と
ナマエが安心したように呟いた。


「んじゃ俺もそれにさんせーい。ジャッカルも賛成だよな?」
「ああ、当たり前だろ。」


みんなの意見はトントン拍子で固まってきた。


『…うん、そうしよう。 赤也は?』
「賛成…したい。で、でももし…明日…の、朝っ」
『……っ!』
「………。」


皆まで言わなくても赤也の
考えていることは誰もがわかった。


もし、人狼がいたら、
明日の朝にはこの中の誰かが……。



「いや、何にもねぇっス!そうしましょう!」
『うん…っ』



話がまとまると、各自
みんなは逃げるように部屋に戻った。



…はたして、これで本当によかったのだろうか。
もちろんこの村に人殺しがあるわけがないが、
何か悪い予感がする。


「弦一郎、」
「…蓮二。どうした?」
「みんなはああ言っているが、俺にはどうも、そんな簡単な話ではない気がする。」
「……」
「みんなを疑いたいわけではない。だが、」
「……だが、?」




「俺は、明日の朝、全員が生きて揃っている気がしないんだ。」







「蓮二っ!!」
「…っ」
「お前は自分の言っていることが分かっているのか!」
「……、」

「…蓮二!」
「……あぁ、すまない。俺がどうかしていた、忘れてくれ…。」
「とりあえず、今日は寝ろ。落ち着いてから、また話そう。な?」
「分かった…。俺も部屋に戻るとしよう。」
「うむ。」



蓮二が部屋に入ったのを確認してから、
俺も自分の部屋に戻った。



明日何事もなく朝が来ればそれだけでいい。

それだけでいい。



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