その日は少し体調が悪かった。



多分、昨日宿題をやって、
いつもより寝るのが遅くなったのが、
原因だと思うんだけど…。



うぅー…、きもちわるい…。



一時間目は運悪く体育で、
のそのそと着替えてから
ギラギラと太陽の照りつける校庭に出た。




整列すると、なんだかいつもより
人が多いような気がした。

いや、間違いなく多い。

しかも男子もいるし…なんで?


「今日は特別に男女混合です!
さらに3年も合同だ!
大人数になるからドッジボールをするぞ。」



3年…、なぜ?
全然まわらない頭を
必死に動かして考えていると、
あの人の声が聞こえた。



「ドッジボールだってよ!
 ぜーんぶ、よけてみせるぜ?」




…向日先輩?!

3年って向日先輩のクラスだったんだ!
嬉しい。


…でもどうせなら
もっと体調のいい日がよかったな。

そしたらいいところ
見せられたかもしれなのに。

今はもう立ってるので精一杯。


…しんどいな。



「じゃあ、二列に並んで、
 右側のやつは体育館側のコートに入れ!
 左側のやつは逆のコートな!」 


はーい、と右からも左からも
返事が飛び交って、
みんなそれぞれのコートに入った。


私は右側だから、あっちか…。
あ、向日先輩も同じだ。


「せんせー!横投げなしー?」
「顔面アウトだよね?!」 



そんな声が遠めに聞こえた。

あー…きもちわるい…。
外野に行きたいなぁ。
あんまり動かないで済むし。


誰か当てて欲しい、ゆるめのボールを。









結局、外野に行けなかったけど、
コート内で逃げ回る必要はなかった。


向日先輩が飛び跳ねて
ボールよけていたから。


相手も面白がって向日先輩を狙っていた。


向日先輩がよけて、狙われて、よけて。



そのおかげで、私の方へ
ボールが飛んでくることはなかった。




こんな近くで向日先輩が
舞ってるのを見れるなんて…。

幸せ、なはずなのに。


さっきからぼー…っとして、
上手く状況を理解できない。
周りが見えない。


視界がぐるぐるして、
すぐそこに太陽が見えて…


足が地についていない感覚。

それどころか身体全体が宙に浮いている感覚。



そして、遠くで私の名前を呼ぶ声が
聞こえたような気がした。


…この声、なんか聞いたことある気がするな…


あぁ、ダメ。考えられない…。


そこで私は意識を手放した。







[*prev] [next#]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -