02







教室はジローと俺以外誰もいなくて、
シーン…としていた。

カーテンを開けたり電気をつけたりと
支度を済ませると
急に眠気が襲ってきた。

朝、異様に早く起きたせいだろうか。


隣のクラスの岳人はカバンをほっぽり出して
校庭に走って行っちまったし、
ジローは前のほうの席で
大きなイビキをかいて寝てるし。


その他には特に誰もいねぇし。
…俺も寝るか。


どうせホームルームまでかなりの時間があるしな。
俺は机に頭を伏して眠りについた。















   













…どれくらい経ったろうか。

ガヤガヤと周りが騒いでるのが
聴こえて俺はゆっくりと顔をあげた。

いきなり明るくなった視界に
目が慣れず、少し顔を歪ませた。


肘をついてふと左下を見ると
スカートが見えて、
真横に女子が立っていることが分かった。


『はじめまして、よろしくね。』
「…?」


は?

なんだよこれ。どういうことだ?


可愛いというより、
綺麗という方が似合う声。


ふと顔を見れば、見たこともない女子。

クラスの奴ではないどころか、
学校内でも見たことがないような女だ。


でも、何故だろう。
激しい既視感に襲われた。



二人は数秒、何も言わずに見つめあった。
その数秒がひどく長く感じた。



「おい、宍戸!お前寝てただろ!」


クラスメイトのその声で我に帰る。


「あ、あぁ。寝てた…」
「その子、転入生だぜ!席がお前の横!」
「え?ああ、転入生か…。へぇ…よろしくな。」



そう言うとソイツはふわっと笑って、
うんよろしく、とつぶやいた。


転入生なんて、知らねぇぞ。

そんなの来るとか言ってたか?


そう思って担任を見たが、
なんだか、その瞬間納得できた。


うちの担任は、適当の代名詞のような人で
本当に必要最低限のことしか伝えない。

むしろ必要最低限のことさえを
伝え忘れるようなことだってよくあること。


こんなのでよく教師が務まるな、とか
毎日思ってたところだ。

まあ普通に考えて転入生のことも伝えるわけがねぇな。



一時間目が始まり、ふと横を見ると、さっきの転入生と目が合った。


その日あんまり授業に集中できなかったのは
慌てて目を逸らした先で
ジローがニヤニヤしてたせいだと思いたい。





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