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 この世界はずっと変わらず美しい 

目を開けた


いつの間にか閉じていたなんて言うのは覚えていない。
ただ、閉じていたから目を開けたのだ。

寝ていたのかもしれない、気絶していたのかもしれない、
ただ、なんとなく閉じていただけなのかもしれない、理由もなく。

……そんなものは、理由は、なぜか、なんていうのは分からなかった。
正確には覚えていなかった。


……なんでなんだろう。
私は、今に至るまで、先ほどまで、目を開けるまで何をしていた?
どこにいた?そして今はどこにいいる?なんでいる?
私は、なんだ?

私は……、私の名前は、……―――



「……うぐっ……!」


―――――分から、ない……?

そこまで考えたところで頭が、鈍器で殴られたように痛みだす。
まるでこれ以前の記憶を思い出すことを拒絶しているかのように。

……拒絶?
と、いうことは、なにかトラウマを植えつけられるような出来事が起こった?
なにかそれを思い出してしまうと、私が私でいられなくなるような……
そんな出来事が起こった、起こっていた―――……?


ズキズキと絶え間なく襲ってくる痛みに頭を抱えて必死に考える、
これが分からないと、―――ダメだ。

私自身が壊れてしまうよりも、もっと大事だ。
私には、今の私には……

――――私という存在自体が、分からない。


それがわからなければ元も子もない、私が私でない。
以前の私は、何がしたかった―――?
こうなることを予想してまで、記憶を消したかった―――?


なんだ、何があった、私の身に、一体何が―――……


「ふっ、はあ、っ……!」

なおも襲ってくる痛みに、荒い呼吸を繰り返す
考えるたびにだんだんひどくなっていく痛みにいよいよ膝をついた。
ポタリと額から流れた汗が地面に染みを作る。


地面―――、そうだ、まずはわかることから整理しなければ……

そう思い、私はひどい頭痛に悩まされる頭を、必死で上にあげた。


    
(1:2:12)