15
いつもの場所に立って、シンはパルスを眺めていた。
何度もこの場所に立った。
そして同じ光景を眺めた。
あそこに居る時、シンはこの世の終わりかというほど思い悩んでいた。
今考えると、なんと小さな世界で、なんと小さな視界で世の中を見ていたのだろうか。
それでも間違いなく、あの頃はそれがすべてだった。
その世界が、シンにとっての世界のすべてだった。
世界は思うよりもっともっと広いのかもしれない。
知りたい、見たい、感じたい……
それまで内側に向いていた何かが、外へ向かって放射しはじめた。
「結論がおりたぜ。オレたちは正式に騎士団の一員だ」
草を踏み、近づいてきたラクティがシンに声をかけた。
「そうか」
振り返らず、シンは一言だけ応えた。
「それと、闇王復活の調査隊にオレたちが任命された。マールも、ルナも込みでな」
今度は、シンは軽く頷いた。
後ろから、ラクティが近づく気配がして、その気配が、シンの隣で止まった。
「お前が、隊長だそうだ」
「え?」
シンはラクティを見た。
ラクティは悪戯な笑顔を浮かべて頷いた。
「頼むぜ、隊長」
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