13
誇り高い老騎士は、おどおどと落ち着きなくシンの隣に立つうら若き少女に慇懃に頭を下げた。
礼儀正しく、騎士仲間にするように。
ルナは驚いて小さく飛び上がると反応に困ってシンを見た。
突然のことに、シンもどう答えて良いか解らず、苦笑いを浮かべる。
そんな二人の反応に、セトはゆっくりと頭を上げ、安心させるように目を細めた。
「ルナディア=クローディルよ。貴女には本当に苦労をかけた。我々は知らないことに対する恐怖に勝てん。精神の修行を重ねた騎士団であってもだ」
セトの言葉に、ルナは何度も首を横に振った。
そんなルナに、セトは優しく微笑みかけた後、そこに居た全員に顔を見渡し、エスパーディアの顔で言った。
「そこでだ。我々はもっと知らねばならん」
誰も反対意見を持っているものなど、その場に居なかった。
「ルナは何故、ルニエの教会に?」
シンは軽く頷くと、自分の疑問を素直にセトにぶつけた。
当然だなというように、セトも頷いた。
「現、パルソナス王であるムシュファ王の指示でな。黒髪のヒトガタを殲滅し尽くしてはならんと。それでは闇王と同じだとな。黄金王パルシェルファの遺言なのだよ。しかし、みな恐れた。マギアの加護のある黒髪の少女を。普通に生活させて良いものか。結局、騎士団も答えをだすことから逃げたのだな」
悔しそうに、セトが唸る。
「闇王の復活については?」
今度はラクティが口を開く。
「100年後に復活する……これは間違いないだろう。我々は対抗策を練らねばならんな。調べなければならんことは山積みだ。どうだ。やってみるか?」
セトが、珍しく、ヴィッシュのような笑いを浮かべる。
「断るとは、思っていないんでしょう?騎士団は」
シンはため息をつきながら、いつものように腰に手を当てた。
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