7
止まった時間をゆっくりと進めるように、ジャネス=アミルは冷たい床に片膝をついて頭を垂れた。
「ここにいらっしゃいましたか。私、闇王さまに、貴女をお迎えにあがるように命を受けました」
マールと並んで立つルナに慇懃に言葉を差し出す。
そしてゆっくり頭を上げると、ルナに向かっておもむろにその手を差し出した。
「さあ、闇王さまのところに参りましょう」
ルナは二三歩後ずさると、小さく首を何度も横に振った。
「何?なんなの?」
その態度に、ジャネス=アミルはめんどくさそうに眉根を寄せると、ゆっくり立ち上がった。
「なんだ。まだお目覚めではないようですね。それでは……」
片手を上げる。
咄嗟にマールはルナの前に立った。
「シールドですか、面倒ですねえ」
言うと、その手を横に動かす。
飛び出そうとしていたシンに白い光が向かっていく。
「シン!」
マールがシンにシールドを貼るために、自分とルナを囲んでいたシールドを解こうとした時。
その白い光を何かが横から吹っ飛ばした。
ジャネス=アミルが目を見開いて、ルナに視線を向けた。
次の瞬間、ルナは力いっぱい掌をジャネス=アミルに向ける。
「やめろ!ルナ!マギアは使うな!」
止めたのはシンだった。
ジャネス=アミルは、鼻で嗤うと、また異形を残してその体を歪ませた。
「出直します。どうやら、少し準備が必要なようなので」
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