7

 止まった時間をゆっくりと進めるように、ジャネス=アミルは冷たい床に片膝をついて頭を垂れた。

「ここにいらっしゃいましたか。私、闇王さまに、貴女をお迎えにあがるように命を受けました」

 マールと並んで立つルナに慇懃に言葉を差し出す。
 そしてゆっくり頭を上げると、ルナに向かっておもむろにその手を差し出した。

「さあ、闇王さまのところに参りましょう」

 ルナは二三歩後ずさると、小さく首を何度も横に振った。

「何?なんなの?」

 その態度に、ジャネス=アミルはめんどくさそうに眉根を寄せると、ゆっくり立ち上がった。

「なんだ。まだお目覚めではないようですね。それでは……」

 片手を上げる。
 咄嗟にマールはルナの前に立った。

「シールドですか、面倒ですねえ」

 言うと、その手を横に動かす。
 飛び出そうとしていたシンに白い光が向かっていく。

「シン!」

 マールがシンにシールドを貼るために、自分とルナを囲んでいたシールドを解こうとした時。

 その白い光を何かが横から吹っ飛ばした。

 ジャネス=アミルが目を見開いて、ルナに視線を向けた。

 次の瞬間、ルナは力いっぱい掌をジャネス=アミルに向ける。

「やめろ!ルナ!マギアは使うな!」

 止めたのはシンだった。

 ジャネス=アミルは、鼻で嗤うと、また異形を残してその体を歪ませた。

「出直します。どうやら、少し準備が必要なようなので」


[ 29/45 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -