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おんなじシャンプーを使っている。洗顔料、ボディーソープ、はたまたスポンジもおんなじ。違うのはバスタオルくらいだ。ならばそれが原因かと風呂を出たばかりの悠太からバスタオルを引きはがそうとしたら真っ赤になって阻止された。何をそんなに照れる必要があるの。
「祐希のヘンタイ」
悠太はすっかりへそを曲げてしまった。今はもうパジャマに着替えて、俺に背を向けてバスタオルに髪の水滴を吸い取らせている。拗ねる悠太は欲目を差し引いても非常にかわいらしいと思う。以前そう言ったら、祐希の方がかわいいよなんて珍しくふざけたことを返してきたのでその時ばかりは盛大にむくれた。
「ねぇ悠太、敵に背は向けちゃだめなんだよ」
無防備な背中を引き寄せて、ぷに、と右の耳たぶをつまんだ。やわらかい。悠太と呼べるもの全てが。まだほこほこと温かい体にぴったり密着してみる。悠太は不快そうに身じろぎした。でもそんなの、形だけだって、俺は知ってる。ぷに。ぷにぷに
「…耳たぶ触るの、やめて」
「ゆーたって、とびきりいいものでできてるよね」
「……そんなこと、ない」
「あるよ」
「ゆーき、」
不安げに振り向いたから、上気した唇を奪ってみた。
見開かれた悠太の眼がうるうるして、それから安心したようにまぶたが降りていく。
あつい皮膚から悠太の匂い。
桃源
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桃の花期は3〜5月、
花言葉は
私はあなたのとりこです