両親が不在の午後。夕飯の食材を買おうと二人でスーパーに行った。二人でカートを押して店内を歩いた。


たまごが食べたいと言い出したのは悠太で、
蛇みたいに?と返したのは祐希だった。



家に着くなり祐希はビニール袋を床に放り投げた。買ってきたばかりのパックのたまごがべじょりと鈍い音を立てる。もったいないなぁと思ったけれど、悠太は何も言わない。暖房を付けたまま外出したせいで、家のなかはむっとしていた。でもお互いそれどころじゃ、なかった。


マットレスも何もない玄関に組み敷かれて、後頭部と背骨が鈍痛を叫んだ。あまりに近くて悠太は被さる祐希の目を見れない。

「オムライス、作んなきゃ」

「もういい」


もういいよ、悠太。


初めて視線が交差した。
欲情の滲む目、四つの瞳が悲しげに潤んでいる、すでに日は落ちて、それなのに蒸し暑い。

「…コート、脱ぎたい」


祐希はちょっと唇を噛んでから、悠太の着ているダッフルコートのトグルに手をかけた。


どうしたらいいのかはわからないけれど、どうするべきかは明白だった。



カラザ



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