自分(達)の部屋に入ったら、祐希が床にうつぶせになってだらしなく寝ていた。
ちょうど、砂漠で枯渇の末に倒れた人のように。

すぐ隣に二段ベッドがあるというのに、何故わざわざ床に這いつくばっているのか。いかんせん祐希の思考回路は謎である。

「ちょっと、起きてよ祐希。邪魔なんだけど」

「……」

どうやら、完全に寝ているらしかった。

仕方ないのでベッドから布団を引っ張りだして被せてやる。
そのさい腕が祐希の体に触れた。かすかに伝わる温もり。今さらなのに固まる悠太の腰に、寝ぼけているのか祐希の腕がまわってきた。

「もー…お兄ちゃんなら
何やっても許してくれると思ってるでしょ」


実はそういう自分が一番、「お兄ちゃん」を免罪符にしている、なんて。

そのことに気づいて愕然としたのは、いったいいつだったか。

悠太は少し眉尻を下げて笑い、祐希のさらさらとした髪をなでた。



免罪符のジョーカー
(今はまだ、このままで)


――――――
(祐→)←悠です。



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