朝礼
!教師パロ
職員室で掲示板を見たとき、朝礼の文字があると決まって鬱になってしまう。理由は明白で、校長の話がオチもないくせにやたらと長いからだ。
生徒は気楽なもので。校長が喋りだして5分とたたないうちに頭がどんどん下がっていき、15分も過ぎようかという頃には真面目に聞いている生徒など数えられるほどになる。
ところが教師はそうはいかない、腐っても鯛…と言っては例えが悪いが、仮にも上司の手前生徒の手前、立ったまま安眠をむさぼるなんて愚行はできるはずもない。
それなのに、今日はまさかの寝不足だった。テスト採点に追われていたのである。最悪のコンディションに最凶のイベント。体がだるくて頭にぼうっともやがかかっている。隣に立っている同僚がこちらをちらりと伺ってきた。気づいたら膝からくずおれていて、
あ、やば、
床にぶちあたる寸前に腰を支えられた。
もうろうとしていく意識の中、俺の背中と膝に回された腕は、ガラスを梱包するみたいに優しくて戸惑う。
きっと、彼がとっさに助けてくれたのだ。殆ど話したこともなかったけれど、俺に向ける眼差しはいつも静かだった彼が。
あの眼鏡の奥は今、険しい顔をしているんだろうか。
想像してみればなぜか胸の奥が甘く疼く。
ふわりと宙に浮いて、一切の疑問と同時に意識もどこかへいってしまった。
―――――― 俗に言う姫だっこ。 職場内恋愛(…)
(2012/04/28)
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