闇小説 | ナノ
やっと、自分の気持ちを形容することが出来た。

生ぬるいものじゃない。



「…乱馬、あんたって本当にばかね。」




静かな道場に響く、あかねの冷たい声。

その言葉には、哀れみも含まれているように思えた。



「何を言ってんだよ。これからは…永遠に一緒にいられるんだぜ。」



そう言って、俺は笑った。

狂喜じみている事くらい自覚している。

長く閉じ込めていたせいなのか。

俺の中にあったはずの、あかねを守りたいといった類いの本能的な感情は、とっくに消え失せてしまった。





「なあ…あかね。俺、お前を殺したいんだ。」






永遠が、終わる。

そして、永遠が始まる。



「…あんたの好きにすればいいわ。」





その言葉を合図に、俺は手に持っていたものを口に含み、あかねに口付けた。




互いの口から、朱が流れる。




「…永遠に、一緒だ。」




俺の言葉に、あかねは嘲笑うように言った。






「…乱馬…貴方って本当に……可哀想な人…」






――そして、俺達は永遠を手に入れた。



そして二度と、永遠を手にすることは出来なかった。



end
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