短編小説 | ナノ
「■思い付くこと」




「乱馬、組み手してよ。」

私は、居間で横になりおそらく友人にでも借りたのであろう少年漫画雑誌に読み耽っているている乱馬に話しかけた。

「いいぜ。」

乱馬はひょいと立ち上がると、思い切り背伸びをした。その際ちらりと見えた腹筋にドキリとしたのは気のせいだと思いたい。そして、私と乱馬の二人で道場へと向かった。

◇◇◇

「…なにこれ。」

「これ、って?」


分かっているくせに分からないふりをする彼は本当に卑怯だ。

私は乱馬に覆い被されていた。

「今から俺が何しようとしてるか分かる?」

そう言って、乱馬はそっと私の頬に手を宛がう。


やはり彼は意地悪だ。

余りにも悔しかった為知らないと言うと、そのままそっと口付けられた。

「相変わらずかわいくねーところは健在だな。」


眉を下げながら乱馬は笑う。

ああ、本当にどうして彼はこうも変わってしまったのかしら。昔は手を繋ぐことさえ出来ない奥手ぶりだったというのに、今ではむしろ余裕さえ感じられる。
その一方、私はそんな乱馬の一挙一動に翻弄されている。

「ずるい…」

「いいんだよ。」

何がいいのよばか。

そしてそんな私を尻目に、もう一度優しく口付けられた。

むかつく…けど。こんな状況でもとりあえずぼんやりと思うことは乱馬が大好きだってこと。

私、相当乱馬に溺れてるみたいです。

end

2011/10/8

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