短編小説 | ナノ
「□形容」





「乱馬、あかねのこと好きなんだろ。いい加減に素直になれよ。」


「全くだ。あかねだって、お前の言葉待ってんじゃねぇの。」



悪友の大介とひろしが、俺を肘で突きながら言った。


「…うるせー。」



俺がそう小さく言うと、何だと、人が心配してやってんのになんて態度だ。と、大介たちは機嫌を悪くする。


お前らの場合、ただ面白がってるだけだろ。と突っ込みたくなったが、それを押さえた。




…あかねのこと、好きではない。


いや、違う。



好きなんかじゃたりねえんだ。


だから、大介やひろしの言う『好き』と、この感情を一緒にされたくなんかない。


愛してるよりもずっと上の深い感情。




俺は、この感情を形容する術を知らない。




「乱馬、帰るわよ。」




…ほら、そうやってお前は何時も無防備に微笑むから。



他の奴らにもその表情を見られてるかと思うと、嫉妬で狂いそうになる。




この思いを、形容する事が出来たならば。




今すぐ、君に伝えられるのに。





end

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