◆◆◆


「成り行きだけど、さ。」


俺は抱き締める腕を緩めて頬を掻く。




「その…初めて…キス、しちまったな。」




あかねの頬がほんのり染まる。


「乱馬が覚えてないだけで、初めてじゃないわよ。」


照れ隠しの為か、むくれ顔であかねは言った。



「おんなじようなもんだろ。お互いの意識が有るときにやったのは初めてなんだしよ。」



「そうだけど…。」



「それとも何だよ。…キス、嫌だったのかよ。」




その言葉に、あかねはぶんぶんと頭を振った。


「そんな訳ないでしょっ…!私、乱馬と進展出来て…」



最後まで言い終わら無いうちに、あかねは俺の胸板に顔をすりよせて来た。


…何なんだよ、くそっ。かわいいじゃねぇか。


滅多にない、あかねの素直な言葉と甘え。




体温が、上がる。



下半身が、熱くなる。




「俺との進展、嬉しいのかよ。」



「…うん。」



俺の問いに、あかねは頷く。



「…じゃあ、もっと進展してみるか?」



「え…?」


その言葉に、あかねはハッと顔を上げた。





「あかねを、抱きてぇ。」




静かな部屋に、小さな俺の言葉はよく響いた。




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