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◆◆◆
「…おーい、乱馬。起きろよ。昼飯の時間だぞ。」
「…へ?」
級友の声に、俺は目を覚ました。
どうやらあれから一時間も経っていたらしい。まぁ、俺的には授業を一コマさぼれてラッキーだったけど。
しかも、目覚めた時間が飯の時間だとは何ともありがたい。
あかねの方を見ると、以外ともう機嫌は悪くなさそうだ。
「それでね、哲士ってばね…」
暫くあかねに意識を集中させていた俺だが、突然その口から飛び出したひと単語に違和感を覚えた。
哲士…?
違和感のある単語とは、それだ。男子だからというのも一理あるが、決定的なものはそこじゃない。
何時もあかねって、俺以外の男子には君だとか先輩だとか、名前の後になんか付けるよな?
なんつーか、あかねの男子に対する呼び捨てって、中々聞かない。
違和感…いや、違和感というより、勝るのは不快感。
つーか、哲士って誰だ?
でも、わざわざそれを他の奴に聞くのも何だかカッコ悪い気がして。
そんな感情をもて余しつつ、俺は午後の授業を居眠りで全うするのであった。
◆◆◆
「転校生…?」
「そ。隣のクラスに来た奴、佐藤哲士っていうんだってさ。なんでも、そいつってあかねの幼なじみらしいぜ。お互いに名前…しかも呼び捨てで呼ぶ仲みたいだし。」
ふーんと適当に相づちを打った俺だったが、実際は内心穏やかじゃない。
「ま、乱馬もうかうかしてられないな。その佐藤って奴にあかねをかっさらわれても知らねーぞ。」
「うっせ。」
俺は苦笑いをするしか無かった。
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