「どういうこと…。」



なびきはその女に問いかけた。



「彼女の心は傷付いてたわ。ぼろぼろにね。それも、傷は最近出来たものばかりじゃないわ。…傷付けたのは、貴方たちよ。」


「何…?」


俺達は耳を疑った。


「その結果、彼女はその痛みに耐えきれず、自ら心を壊した…。」



「元に戻す方法はあるのか?!」



俺は耐えきれずに叫んだ。

横目であかねを見る。


俺が、あかねをこんなになるまで傷付けてたなんて。

もちろん、女は俺だけが原因だとは言っていなかった。


でも、最終的にあかねが心を壊すきっかけを作ったのは、俺の言葉だ。


俺が、助けなきゃいけない。いや、助けたいんだ。



「あるわ。」



女は言った。



「貴方たちが、あかねの心の中に入って、あかねの心の歴史を見ること…。そして、あかねの心を癒すことが出来たら元に戻るわ。」


「じゃあ…」


「ただし。」


女は真剣な口調で言った。


「もし、失敗してしまえば、あかねの心はもう二度と元に戻すことは出来ないわ。」



皆が息を飲んだのがわかった。



「俺は行く。」



静かに、俺は言った。



「あたしも行くわ。」



なびきも一歩前に出た。



「…天道さん、行きましょう。」



東風先生は、おじさんに言った。



「ああ。」



その言葉を最後に、女は優しく微笑んだ。




「あかねを、どうか助けてあげて。」


女は、深くお辞儀をした。



え…?




女の心理は分からなかった。



その瞬間。




俺達は、眩い光に包まれた。




[ 5/16 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -