4
「東風先生っ!!」
俺は勢いよく戸を開けた。
「どうしたんだい、乱馬く…」
東風先生は、俺の腕の中で動かないあかねを見て全てを察したようだ。
「とりあえず、あかねちゃんをベッドに寝かせて。」
東風先生の声は、いつもより真剣だった。それにより、あかねがどんな状況にあるかが伝わってくる。
「僕は診察してるから、乱馬君は天道さんのところに電話してくれるかい?」
「はい!」
俺は、すぐさま天道家に電話をかけた。
◇◇◇
「あかねっ!!!」
おじさんとなびきが、勢いよくあかねの側に駆け寄った。
かすみさんは来ていない。きっとおじさんが計らったのだろう。
「先生、あかねは一体…!!」
おじさんは今にも泣き出しそうな顔ぶりだった。
「わかりません…身体には特に異常は見られませんでした。ただ、何事に関しても反応がありません。こんな症状は僕も初めて拝見しました。」
その言葉に、俺達は項垂れた。
どうしてあかねが…!!
強く拳を握った、その時だった。
「彼女は心を壊したのよ。」
突然聞こえた声。
ベールをまとった女性と思われる人が、病室の片隅に立っていた。
「誰だてめぇ…!!」
俺はそいつに向かって叫び、構えた。
「私は、あなた達をよく知る者。そして、彼女に心を壊す薬を与えた者。」
心を壊す…?
「なぜあかねを!!」
平然と答えた女に向かって、おじさんは叫んだ。
「私が壊したんじゃないわ…彼女が自ら壊したのよ。」
その言葉に、病室は静寂に包まれた。
[ 4/16 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]