「東風先生っ!!」


俺は勢いよく戸を開けた。


「どうしたんだい、乱馬く…」



東風先生は、俺の腕の中で動かないあかねを見て全てを察したようだ。




「とりあえず、あかねちゃんをベッドに寝かせて。」



東風先生の声は、いつもより真剣だった。それにより、あかねがどんな状況にあるかが伝わってくる。



「僕は診察してるから、乱馬君は天道さんのところに電話してくれるかい?」


「はい!」



俺は、すぐさま天道家に電話をかけた。



◇◇◇



「あかねっ!!!」



おじさんとなびきが、勢いよくあかねの側に駆け寄った。


かすみさんは来ていない。きっとおじさんが計らったのだろう。



「先生、あかねは一体…!!」


おじさんは今にも泣き出しそうな顔ぶりだった。



「わかりません…身体には特に異常は見られませんでした。ただ、何事に関しても反応がありません。こんな症状は僕も初めて拝見しました。」



その言葉に、俺達は項垂れた。



どうしてあかねが…!!



強く拳を握った、その時だった。




「彼女は心を壊したのよ。」



突然聞こえた声。



ベールをまとった女性と思われる人が、病室の片隅に立っていた。




「誰だてめぇ…!!」



俺はそいつに向かって叫び、構えた。



「私は、あなた達をよく知る者。そして、彼女に心を壊す薬を与えた者。」



心を壊す…?



「なぜあかねを!!」


平然と答えた女に向かって、おじさんは叫んだ。



「私が壊したんじゃないわ…彼女が自ら壊したのよ。」



その言葉に、病室は静寂に包まれた。


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