◇◇◇


「ったく、アイツどこ行きやがったんだ?」


俺はおじさんや親父に急かされ、あかねを探しに家を飛び出していた。

いや、急かされなくても行くつもりだったんだけど。

きっかけがないと動けない最低な俺。



さっきも、あかねにあんなことを言っちまった。



本心じゃない。そんな訳あるはずない。



「くっそ…どこに…。」




途方にくれて拳を握ったその時だった。



「!!」



公園に、女の子が倒れているのが見えた。



「…あかね!!」



あかねだ。



俺はすぐさまあかねに駆け寄り、介抱した。



「あかね、あかねっ!!」



揺すぶりをかけて幾度か名前を呼ぶと、あかねは目を開けた。




「あかね、大丈夫か…?」


ホッとしたのもつかの間、俺はあかねの異変に気付いた。



あかねからの返事がない。


それどころか、あかねの目は俺を見てはいなかった。



ぼんやりと、虚空を見つめている…そんな風に見えた。




「おい、あかね?あかねっ!しっかりしろ!!」



どんなに呼び掛けても、あかねの反応は無い。



「くっ…」




成す術がない俺に、ある考えが過った。



…そうだ、東風先生…!




俺はあかねを抱き上げ、暗闇の中を急いで走り出した。



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