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「貴女は…だれ…?」
私はおそるおそるその女性に言った。
「私は、貴女の全てを知る者。ずっと、貴女を見てきたわ。」
どういうこと…?
私は後退りをした。
「怖がらないで。そして、涙をお拭きなさい。」
あ…
私は自分の頬に手をやる。
そこで初めて泣いている事に気が付いた。
「貴女の心は傷付いてる…。その涙が証明しているわ。そして、貴女は今日の出来事だけで傷付いているわけではないみたいね。ずっと昔から、貴女は苦しんできた…。もし、もう苦しみたくないと感じるようであれば、これをお飲みなさい。」
そうして渡されたのは、乳白色の小さな玉。
まるで、真珠みたいにきらきらしてる。
「今までの痛みを、消すことが出来るの…?」
私は、女性を見た。
「ええ、そうよ。全部ね。」
その言葉に、嘘があるようには思えなかった。
痛みを消す…それがどういうことなのか、私には分からない。
でも、今まで積み重ねてきたこの苦しみや痛みから解放されるのなら…
手のひらのそれに目をやる。
そして、私はためらうことなくそれを飲み干した。
その刹那、胸に激しい痛みが走って…
私の意識は、そこで途絶えた。
優しげな女性の声を、聞きながら。
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