「貴女は…だれ…?」


私はおそるおそるその女性に言った。


「私は、貴女の全てを知る者。ずっと、貴女を見てきたわ。」



どういうこと…?
私は後退りをした。



「怖がらないで。そして、涙をお拭きなさい。」



あ…

私は自分の頬に手をやる。
そこで初めて泣いている事に気が付いた。



「貴女の心は傷付いてる…。その涙が証明しているわ。そして、貴女は今日の出来事だけで傷付いているわけではないみたいね。ずっと昔から、貴女は苦しんできた…。もし、もう苦しみたくないと感じるようであれば、これをお飲みなさい。」



そうして渡されたのは、乳白色の小さな玉。


まるで、真珠みたいにきらきらしてる。



「今までの痛みを、消すことが出来るの…?」


私は、女性を見た。



「ええ、そうよ。全部ね。」



その言葉に、嘘があるようには思えなかった。



痛みを消す…それがどういうことなのか、私には分からない。



でも、今まで積み重ねてきたこの苦しみや痛みから解放されるのなら…



手のひらのそれに目をやる。


そして、私はためらうことなくそれを飲み干した。



その刹那、胸に激しい痛みが走って…



私の意識は、そこで途絶えた。





優しげな女性の声を、聞きながら。

[ 2/16 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -