「ん…。」



目覚めると、私は小乃接骨院のベッドに横たわっていた。




「あ、あかね〜っ!!」




お父さんが泣きながら、目覚めたばかりで朦朧としている私を抱きしめる。

後ろでは、お姉ちゃん達や東風先生が微笑んでいた。



「お父さん、みんな…。」



私は、何だか長い夢を見ていたような気がした。



「私、どうして…」



其処までいいかけて、私は全てを思い出した。


私、心を壊す薬を飲んだんだ…。


でも、不思議と心は苦しくなんか無い。


むしろ、何だか満たされてるみたいで…。


私は、胸を強く握る。


「あ、そういえば乱馬は…?」



私は、乱馬がいないことに気付く。



「乱馬くんは…」



なびきお姉ちゃんが言いかけた、その時だった。



一瞬、何か光ったと思うと、乱馬が突然現れた。



「ら、乱馬!!」



「あかね…。」



乱馬は私の方を見て、安堵の顔を見せた後、何故か赤くなってそっぽを向いた。


「あかね、お父さん達は母さんが死んだことでお前を恨んでなんかいないよ。」


お父さんは、優しく言った。




「そして皆、あかねを大切に思ってる。」




何故お父さんが突然そんなことを言ったのか分からない。



でも、何だか今までの胸の支えが取れたみたいな気持ちになって…。



私はまるで、子供のように大声で泣いてしまった。




そして、私が泣き止んだ頃に、かすみお姉ちゃんが言った。



「さっきね、お母さんが家に来て、みんなの幸せを祈ってるって言ってたわよ。」


「…え?」



私たちは何の事だか分からずに、呆然とした。


東風先生は、何か知っているみたいだったけど…。


そんな私たちを見て、かすみお姉ちゃんはにっこり笑った。



◇◇◇







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