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「ここは…。」
目が覚めると、東風は何故か天道家にいた。
「あら…東風先生、お目覚めになりましたか?」
傍らにはかすみが菩薩の微笑みで座っていた。
「え、あ…こ、こんにちはかすみさん〜。今日もいい天気ですね!!」
「今は夜ですよ。」
東風は相変わらず、かすみの前では支離滅裂な事を口走っていた。
「何で僕は此処に…あ、あかねちゃん!」
状況を飲み込めた東風は、ガバッと立ち上がろうとする。
しかし、かすみがそれを制止した。
「あかねは大丈夫ですよ。…お母さんが、そう言ってましたから。」
「え…」
訳が分かっていない東風に、かすみはもう一度優しく微笑んだ。
◇◇◇
その頃俺は、暗い空間の中を一人で走っていた。
何処からか、あかねの泣く声が聞こえる。
早く見つけてやりたい。
その一心から、俺は無我夢中で走り回る。
一層その声が大きくなったところで、俺は辺りを見渡した。
「あ…!」
人影が見える。
あかねだ…。
俺はその人影に向かって走り出した。
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