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次に写し出されたのは、俺がシャンプーに追いかけられている図だった。
(何よ、乱馬の奴。シャンプーにでれでれしちゃってさ。)
自惚れに聞こえるかもしれないが、あかねが俺の事を好きになったことを示していた。
「よかったじゃない、乱馬君。」
俺はうるせーと照れ隠しに言った。
なびきはいたずらな笑いを作る。只、何時ものようななびきの雰囲気ではなくて。
いくらマイペースななびきでも、妹の辛い心の中を見ている最中、なびき自身の心中も穏やかではないことを思い知らされた。
そんな中、あかねの心の声が聞こえた。
(乱馬は、一体誰が好きなんだろう。)
え…。
俺はその言葉に驚いた。
だって、ただ互いの不器用な性格がぶつかり合っているだけで、あかねに俺の気持ちだって分かって貰えてると思っていたから。
「あかね、乱馬君があかねの事好きだって気付いてないの…?!」
なびきも驚きを隠せないようだった。
何だか、いざ口に出して言われると恥ずかしいものがあったが、今はそれどころではない…。
そして、次に現れたのは今日の俺とあかね――…。
そう。あかねが心を壊すことになった原因…。
「ったく、かわいくねーな!!ま、そーだな。確かにシャンプーは誰かさんと違って素直でかわいいしな。」
…今更ながら、どうしてあんな事を言ってしまったのだろう。
しかし、後悔既に遅し。
「…そう、分かったわ。じゃあさっさとシャンプーと付き合えば良いじゃない!!乱馬のばかっ!!」
――あかねを、傷付けてしまった…。
(私は、いつまで傷付けばいいの?…何時になったら…
…何時になったら、私は誰かに愛して貰えるようになるの…?)
あかねの悲痛な心の叫び。
――皆の目から、涙が零れた。
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