『好きなのを選んでくれ。君の許嫁だっ。』


おじさんの言葉に、かすみさん及びなびきがあかねを推薦する。


『あんた、男嫌いなんでしょ。』

『さいわい乱馬くんは半分女なんだし。』


(そんな…私は東風先生が…。)



『あんな変態お断りよっ!!』


(でも私が許嫁にならなかったら、皆に嫌われてしまうかもしれない…。)


あかねの心と気持ちは裏腹で、葛藤が見えた。


あかねがもしここで猛反発をしたならば、俺達が許嫁になることは無かったのかもしれない。


猛反発をしなかった理由がこんなところにあるなんて誰も思いもしなかっただろう。



俺達が許嫁になったのも、あかねの過去から背負ってきた『皆にとって良い子であらなければいけない』という感情の為…。



それは偶然じゃなくて、必然だったのかもしれない。


それは、悲しい必然…。



そして、あかねが東風先生に抱いていた恋心と決別する日がやって来る。



良牙と俺の闘いによって、想いが込められたあかねの長い髪が無残にも切り落とされる日が――…。



あかねは、どんな気持ちでかすみさんに残りの長い髪を切ってもらったのだろう。

どんな気持ちで東風先生の胸の中で泣いていたのだろう。



それは全くわからないけど、きっと長年培ってきた恋心と決別するのは苦渋の決断だったに違いない…。



でも、そんなあかねの心の苦渋の決断に安堵の気持ちを抱いている自分がいた。

あかねの不幸を、喜んでいる自分が。


俺、マジで最低だな…。


感情の整理が出来ない俺は、その場しのぎに強く拳を握った。






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