過去編



赤い薔薇は情熱を表すというの私でも知っている有名な話だけど、うすい黄色にはあなたをかげながら応援しますという花言葉があるんだという。
これならちょうどいいかしら
幸村君に渡すには。

花屋さんの言葉にのせられて買った黄色い花達ははかない。でもタンポポのような力強い色でもあった。どこか幸村君がきるジャージの色みたいで、私は好きだ。生命力が溢れているような、そんな気がするから










「はーい」


幸村君の家を訪ねるとご両親は仕事でいなかったらしく妹ちゃんが出てきた、妹ちゃんとは顔馴染みだったからすぐ幸村君を呼んでもらったけど、やっぱり私が抱えている黄色い薔薇が気になるのかチラチラと覗いていた。

さすがに幸村君が来たらごゆっくりと上に上がっていってしまったけど。

それにしても妹ちゃんも大きくなったわね……。
考え方が年寄りくさくなってきているわね、やばい


「妹ちゃん、可愛くなったわね。昔も可愛かったけど」

「そうかい?兄としてはあんな妹可愛げがなくていけないよ」


幸村君は手櫛で髪を整えながら、はにかむ。やっぱりいきなり来すぎたわよね。電話しとけばよかったわ。
後悔先に立たずとはよく言ったもので、ラフな服装で出てきた幸村君に罪悪感が生じた


「それで、どうしたの?」

「ああ、はいこれ、学校じゃあ渡せないからあげる」

「え?貰っていいの?ありがとう」

「黄色い薔薇には悪い意味が多いらしいけど、あなたに恋しますとかいい意味もあるみたいだから誤解しないでね」

「え!あ、ああ、うん!大丈夫!大丈夫!」

「そう何回も頷かれるとそれはそれで憎たらしいわね」



苦笑しながら幸村君に笑いかけると、真っ赤な顔をして返される

あら、風邪かしら



「幸村君、ちょっと顔赤くないかしら。風邪?」

「そういうわけじゃないと思うけど」


真っ赤に染まった頬っぺたに手をおきながら幸村君は苦笑した



「そう、それならいいけど」

「家、よってく?母さん達いないよ」

「いえいいわ、折角の休日なんだからちゃんと休みなさいね」

「大丈夫だよ。よっていきなってば」

「えらく今日は勧めてくるわね、大丈夫、ちゃんと試合見に行くわよ」

「え?本当!」

「嘘言ってどうするのよ、ちゃんといくわ」



そっかと頬をやっぱり赤らめながら幸村君は笑う、風邪っぽい、本当に休んだほうがいいわね



「幸村君、ちょっとおでこ貸して」

「へ?」

「ほら、はやく」


おでこに手を当てて温度をはかる、うーん、ちょっとやっぱり熱いわね



「風邪っぽい。やっぱり寝たほうがいいわ」

「あ、いや、これは」

「今日の用事は花を渡すだけだったから私は帰るわね。安静にしなさいよ」


「あ、あの、友お願いがあるんだけど!」

「うん?なあに、幸村君」

「俺達が優勝したら、薔薇持ってきてくれないか、赤い、薔薇」

「え?薔薇?」

「うん」


なんに使うかは知らないけれど、望むんだったら、いいかしら



「いいわよ、そのかわり楽しみなさいよ」


「……楽しむとか分からないけど、俺は勝つよ」


そ…う

俯いてしまう、やっぱり、私じゃ………
でも、ちゃんと話しさえ出来れば……

いつまでもうつむいたままじゃいけない、私は顔をあげて、口角をあげて笑う



「楽しみにしてるわ」


幸村君の顔が期待と緊張で少しだけ強張ったように見えた





  
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