She Side




最後のテスト終了のチャイムが鳴ると教室は活気に溢れた。

私はそれを横目でみながら、教室を去る。


途中で担任の先生にあって、気分が悪いから保健室にいきますといって、私は保健室にむけて歩いていった。









中には眼鏡をかけた、男がいた、外見特徴からいって柳生 比呂士……、だと思う。あいさつもせず、ベットに横たわり、カーテンを締めたのは本当に気分が悪くなったからじゃなくて、一人になりたかったからだと思う。


「はあ……」


ため息をついた。

どうしてだかわからなかった、ただ、どうしてもため息をついた


悪口を言われることも陰口を言われることも慣れていた、はずだった。

嫌いとか好きとか、それでなくても気に入らなければぐちぐち裏でいいあうそんなこと、慣れたはずなのに


「……っ!」


涙腺が緩む、やっぱり人がいるところは苦手だわ。
人は、ある意味で平等だ。本のようにはいかない、みんながみんな生きていて、みんながみんな意思をもっていて、だから

私が嫌われているんだってしかたない、じゃない。

納得しなくちゃいけないのに


「ぅ――――っ!」


声にならないような声をたてた、やっぱりどうしても、慣れない。慣れたくない。人に嫌われるなんて嫌。私だって嫌いっていっぱいっているのにだけど

嫌われたく、ない

悪いと言われたくない

差別して欲しくない


「うぅ、っ」


どうしようもなく、嫌だ





「大丈夫ですか?」

カーテンを開いて、入ってきたのは、柳生くんと思われる人だった。

「うぅ、うぅん」

声がだせないけれど、顔を縦にふった。


「嘘をつかないで下さい。どうかしたんですか。………っ泣いているじゃないですか!」


「ひっ…!」

いきなり声をあらあげないでよ、びっくりしちゃうじゃない。




「い、い、いきなり、声をあげないで!」

「すみません、ですが、どうして泣いているんですか?」

「な、ない、泣いてなんかいないわ」

「泣いてるじゃないですか」

「泣いてないの」

「泣いてますよ。………誰かあなたになにかしたんですか」


鋭い、目

眼鏡をからつり上がる、綺麗な目に見られて、震えが走った


「違う、わよ。」


ギシッとベットが軋む。


何故だか、かのペテン師を思い出させる瞳。

パートナーだからかしら

似ている



「本当かのぅ?」

「は?」

「本当ですか?」


さっき、確かにあのペテン師の声が聞こえた


「……ペテン師さん」

「……仁王くんのはずですが?」

「あなた、仁王くんね」

「違いますよ」


クスクスと眼鏡を外しながら笑う、ペテン師さんは楽しげだった。


「……眼鏡、外すとかっこいいわね」

「ありがとうございます」

「紳士さんに言ってるの」

「…………可愛くないですね」

「よく言われるわ、可愛げないってね」

「………なんで泣いてるんですか?」

「泣いてないってば。あと、バレてるんだから口調戻したら?」

「なんのことだかわからないですね」

「……」

「泣いていた理由を教えてくれたらわかるかもしれませんけど」

「………私、可愛げはないわ」

「そうですね」

「顔も可愛いとは言えないし、態度だって、性格だって、可愛いなんて言えないわよ」

「ええ、ですね」

「嘘だってつくし、偽りだってはくし、嫌味だって言うわ」

「人間ですからね」

「でも、私は」


人間なの
一人の人間なの
化け物でも、怪物でも天才でも悪魔でも天使でも、ないの

言葉だって理解できるし、やられた意味だってわかるのに


「…………っ」

「………」

「っ!っ、っ!」


声に、出せない

どうしても、どうしたって


「しょうがなかな…」


ポンポンと背中を叩かれる。



「今はよかよ、いつか俺だけに教えんしゃい」



ポンポン、ポンポンって


まるで揺りかごのように気持ちがよかった

















  
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テーマ「人外ファンタジー」
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