She Side






ええええええええええぇぇぇっ


正直、テニス部に来たときにそう思った。

なななにこの人達、重力とか力学とか世界の理論全部に反発しすぎでしょ。

ありえないわ






実際のところ、私はテニス部をなめていたのかもしれない。人間じゃないでしょ、この人達。というか人間だったら私達はこの人達と同じなんだ、それはないわ



本当のところ、私は今日どころ一生、テニス部に近づくつもりはなかった。昔のこともあるし、ファンクラブのこともある、あのテニス部には苛立ちと恐れしかなかったし、正直に言って雪羅に近付きたくなかった。例え、昔の友達とかいう脆い関係だとしても、だ。

だから、放課後全力で走った。そりゃあもう通知表であまりの酷さに先生にいつも傍線で誤魔化される体育を、一生懸命、全身全霊をかけて逃げた。あの走りが体育で出せていたら、3ぐらいは取れるんじゃないかというぐらい、そのぐらい頑張って走った。


しかし


魔王は、下駄箱通りすぎ、校門前にいた。その姿を見たとき、なんで裏門から出ていかなかったんだろうと後悔した程で、彼は誰かしら(死線的には私)を見て満面の笑みでこちらに手をふった、刹那―――

あまりのことに私は後ろを向いて、脱兎のように巻き戻し、全力を出した魔王(幸村くん)に捕まり、「いい子だから、行こうね」という子供に言い聞かせる感じの声に屈辱を感じながら、引き摺られるままに辿りついたテニスコート、あまりの恐怖に気を失いかけてしまい、テニスコートに入る前にいわれたルール的な何かを私は上の空で頭に入らないまま、テニスコートにつき、そして冒頭に戻る






「テニス部じゃないわよ、これ」

世界の不思議でも求めてるんでしょ、あんた達って

ありえない

どこのびっくり人間達なのよ、この人たちは


「酷いな、ちゃんとテニスラケット持ってるし、テニスボールだろ。ちゃんとしたテニスだよ」


私の首根っこをつかんでいる魔王(幸村くん)は少しだけ拗ねた様子で、私の首根っこをつかんでいない方の手でラケットを持ち、ボールをポンポン跳ねさせ始めた。
軽い恐怖である。


「な、なに言ってんのよ。こんなの、というか普通、テニスでバックに鬼が見えたり、炎が出たりしないわよ。なんの非現実的な集まりよ、この部活は」

「だから、テニス部なんだって」


こんなの、テニスって認められないでしょ、普通だったら。
こんなの公式戦でしていいんだ

そんなバカな


「テニスブってかなりファンタジーの世界だったのね、初めて知ったわ」

「うん? いや、ファンタジーの世界じゃないよ。本の中じゃないんだからさ」


ファンタジーの世界で私的にはいて欲しかったのだけれども、なんて突っ込んだほうがいいのかしら、困ったわね



「ま、とりあえず、ベンチにでも座って見ててよ。帰ったら明日も来てもらうことになるから、そのつもりで」


嫌な言葉を最後に、幸村くんはレギュラーのメンバーを集めるとかなんとかいとて、首根っこを離して私をベンチにお行儀よく座らせてさっていった。


「…………」


その後の私はどうすることも出来ず、女の子の悲鳴のような応援を聞きながら、眠ろうかと現実逃避していた

















  
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