She Side








「幸村、……くん!」


「ふふ、なに?」


なにじゃないわ、このエセ紳士と心の中で罵倒しながら、イライラと彼の机を叩いた。


「あんたの後輩に! 何故か! これをあなたに渡してくれって言われたのだけど!?」

「ああ、それはありがとう。迷惑だった?」

「は? いや、渡し物を頼まれる分にはなにも言わないわよ。そんなに心は狭くないわ、ただ! ただよ! なんで私に渡すようにいったのか、そこが問題なの!」

「同じクラスなんだから、仕方ないんじゃないかな?」

「同じクラスってだけならば、私の近くにいたクラスの女子にでも渡せばよかったのよ。わざわざピンポントで私に渡すなんてなんの嫌がらせよ」


あはは、違うってば
とまるっきり笑顔でいう神の子に青筋をたてようとはしたが抑えた、イライラするんじゃないわよ、平常心平常心



「ほら、君って俺の幼なじみだからさ」

「理由がおかしいわ。なにその幼なじみだからしょうがないよってかんじ。 だいたいこの頃あんたのテニス部の人間に付きまとわれたり、しゃべりかけられたり、怒鳴られたり、絡まれたり、助けられたり、頼まれるたり、調べられたりされてんだけど。どういうことよ」


「みんな君のことが気になるんだよ」

「なにそれ、……まったく、全然、絶対、これっぽっちも、嬉しくない」

「言うと思ったよ」

「………」



こいつの顔を見るとなんでだか、むしゃくしゃして机蹴りたくなるのは何故なのかしら

昔からなのだけど



「なに、考えてるのよあんたのテニス部は」

「さっきから思ってたんだけどさ、俺のテニス部って語弊があるんだけど」

「あんたのでしょ、あんたが纏めてるんだから。昔からね」

「………そんなにテニス部見に来てくれたことないくせに」

「なに、小言ブツブツ言ってんのよ。怖いわよ」

「……なーにも。あ、どうせならマネージャーなる? 今、雪羅さんあんまり使えなくてさ」

「はあ? なんで私が、というか愛鶴がいるならいいでしょ。だいたいそのふりはなによ、ふりは」

「俺、昔から雪羅さんがいるなら君がいてもいいと思ってたんだよね。どう?」

「丁重にお断りします」

「えー」

「えーじゃないわよ、可愛くない」

「えー」

「……う、可愛いわよ、可愛いけど、ちょっとこっち見ないでよ。思わず撫で撫でしそうになるから、ちょっと、本当見ないでってば、シャキッとしなさいよ、シャキッと」


うう、確かに校内ナンバーワンの人気なだけは……あるわよね。

……アイドルにでもなったらお金稼げそう

まあ、テニス一筋だから無理でしょうけど



「あう、もう落ち込まないでよ。そんなに重要じゃないでしょう、マネージャーなんて。………ちょっと、上目やめて、本当にやめて」

「マネージャーやってよー」

「なんで、大会終ったし、部活あと残り少ないんでしょ。大切なこともないしいらないじゃない。私は」

「君、大会やってるとき学校いなかったし。見てもらいたいんだよね、俺たちの実力」

「え、めんどくさいわよ。なんで見なくちゃいけないのよ、そんなの」

「昔、君が俺らのことアイドルみたいなものよねって言ってたの俺覚えているんだよね。それってテニス出来ないっていわれているみたいで悔しくってさ、ね?」

「ねって、大丈夫、大丈夫今はわかってるわよ。全国制覇してんだも、実力共にって奴でしょ、昔のことは悪かったとは思ってるけど、今は十分わかってるから、遠慮するわ」

「えー」

「ちょっと、本当にやめてよ。さっきから私にむけて殺気がきてんの」

「じゃあ来てよ、ね?」


手を取られてしまった。

そしてにっこりと微笑まれてしまった。


後ろから、痛い視線が痛い

どうしようもなくて、そのまま首を縦にふってしまった




ああ、もう!


















  
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