校門の近くに俺からしてみたら見慣れた顔が前におった。しかしながら、時間としてみれば今は6時前、部活に入っとらん、あいつがこんな時間帯になんのようなのじゃろうか。
それが気になって、荷物を置くついでにあいつがむかった校舎の方に急いでみた。
校舎に入るとまだ誰も来ていないというのを表すように、シーンと静まりかえっておった。
俺は下駄箱から履き物を取りだし、履いて一伸びした。
そういえば、追ってきたのに哀川友の姿がなか。俺はあいつをばれない忍び足で探した。
案外、簡単には見つけられることは出来た。
しかし、それは、声をかけるかどうか危ぶまれるような、雰囲気じゃった。
シーンと静まりかえった校舎に、ドスッとビニール袋にものが入る音がした。
哀川友は、嫌がらせをうけている。確か、参謀はそういいよった。しかし
これはまさに、いじめじゃ、なかろうか。
彼女はビニール袋の中に一つ一つ、何食わぬ顔で下駄箱の中にあった虫の死体を入れていく。
何食わぬ顔で
何喰わぬ顔で
疲れきった様子でもなく、憤りきった様子でもなく
ただ、無表情で
感情を殺して
表に出さないようにして、淡々と、【嫌がらせ】を
その事実を消そうとしておった。
俺はその姿をみて、どうしてだか納得してしまった。
こういう人物が哀川友であると、実感してしまった
いくらかして、下駄箱が綺麗になったら、彼女はその下駄箱を去って行く。
どうやら、家に戻るらしい。
これをするためだけにこんな時間にくるのかと思うと、素晴らしい精神だと思ったが、なにかがおかしかような気がする。気のせいじゃろうか
まあ、とりあえず、真田に怒られるのがいやじゃけん、早くテニスコートに行くことにした