嘘とペテン師


屋上で久しぶりに一人でいると、女らしき人物が屋上にくるのがわかった。

今日は誰とも約束してないはずじゃが、はて、誰じゃっただろうか。

知り合いならば、声をかけるぐらいするだろう、俺はそう思い、顔を下げた。


この頃暇だ。
残すところあと2ヶ月という高校生活

部活も大会という大会はなく、暇な時期。


女遊びも飽きてきおった。
この頃は彼女もとっかえひっかえにしとる。
名前も覚えとらん女が俺のもとにくるというおかしな状況になっちょる



暇じゃ、なんならばあのケバい女に告白でもしてみっか、いくらかまぎれるというもんじゃ。
確かあの女は―――




「次の授業は音楽だったかしら? ペテン師さん」


知らん、と声をあげそうになって、こんな声聞いたこともないことに気がついた。

「ああ、ごめんなさい。次の授業は音楽よ、ペテン師さん。ちゃんと出てくれなきゃ、愛鶴(あいず)が五月蝿いから出てちょうだい」

「誰じゃ、愛鶴って」

「あら、テニス部じゃあ有名じゃないの? あんた達のマネージャーじゃない」
「……ああ、雪羅(ゆきら)のことかのう」

「ええ、雪羅愛鶴」




雪羅愛鶴、ケバい女。香水臭くて、マネージャー業をいっちょんしおらん、テニス部の汚点のような女


「なんで雪羅が五月蝿いんじゃ?」

「あんた、テニス部なんでしょ、天才くんだけじゃ駄目なんですって」

「ハッ、ミーハーなことじゃのう」

「あら、知らないの。ミーハーにあんたがいっている意味ないのよ」

「そうなんか、知らんかった」


なんて、ミーハーにはそんな意味があることぐらいわかっちょる。だけど、こいつの場合知らんかったというわけじゃなかようじゃがの


「ともかく、私五月蝿いの嫌いなの。来てちょうだいね」

「気が向いたらのぅ」

「来てくれないと、神の子さんに言いつけるわよ」

「それは遠慮したいものじゃな、サボりをバレただけでも凄かったんじゃ」

「ならばきてちょうだいね、ペテン師さん」

「なあ、お前さん名前は?」


俺は女の名前を聞いた、顔を上げてはいないので顔は見えておらんが、名前さえきいちょれば検索はできる


「和久田紫陽花」

「かわった名前しちょるな、本名か?」

「あら、それは秘密よ」




そういって、女は屋上から、帰っていっちょった。



どうせ名前は本名じゃなかが、クラスは一緒じゃろう。授業にいけばよかか。









「確か音楽じゃったな」

屋上から抜け出して、教科書をとって音楽室に急ぐ、もうすぐチャイムがなる。さすがに遅れて入ると音楽の先公から真田や幸村に連絡がいくことになっちまうから、急ぐ。



「あれ、仁王なにしてるんだい?」

音楽室に入ると何故かクラスの違う幸村が声をかけてきた。

「仁王のクラスって次はパソコン室に集合じゃないのかい?」




……騙された










  
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