「哀川友といえば、テニス部では有名ですよ」

柳生はペンをクルリと回し、眼鏡をクイッとあげると俺の方をみた。


「四年前、雪羅愛鶴と哀川友は友達同士でした。仲が良いとはいえないかもしれませんが、交流はあったようです。雪羅愛鶴、今でこそ彼女はあのような人ではありますが、昔はテニス部に尽くす善きマネージャーであることを君も見てはいるでしょう」


もちろんじゃ。
しかし、それは突然終わり、あんな、けばけばしいものになっていた。何故だかは調べんかった。ただ化けの皮が剥がれたのかと思った。


「しかし、それは哀川友のせいだった。というのが我らの参謀のご意見です。なにかあったか知りませんが、なにかあったのでしょう。人格を1つまるまるかえてしまうようなことです。聞きたいとも思えません」




柳生はまた眼鏡をあげる、感情が見えない



「そしてその変化に気づいた当時の彼氏であった丸井君が哀川友を追い詰めることになります。それはもう酷い有り様だったようですよ、テニス部にまで話が及んで一部では丸井君の退部まで囁かれたほどでした。まあ、それは難を逃れたようですけれども。それでもその『追い詰め』の結果、当時かなり高かった学力を哀川友は捨てることになります」


つまりは登校ができなくなったというわけかのう


なんともまあ、皮肉なことじゃ。
自ら放った火の粉を自分で受けることになるなんてのう




「彼女が学校にこれるようになったのは我々が全国大会を終えた頃です。どうやら頭の回転はあるようですね、全国大会に出場しているときのファンクラブは過激ですから」


「で、昨日のジャッカルとの衝突か。複雑じゃのう」

「複雑、そうでしょうか? それに彼女が、哀川友が一方的やられ役にまわっているというのが私にはどうも信じられません。彼女は仁王君、君と同じなんです」

「嘘つきってことじゃろう?」

「それもありますが、………彼女は勉強以外では恐ろしく頭が回るんですよ。それはもう素晴らしい程にね、彼女だったら四年前とはいかないまでも、昨日のことは通常ならばありえない」

「過大評価しちょるな」

「そうですか? ………そうかもしれませんね。でももし、昨日のことがもしも、なにかによって作られていたとしたら、またなにかあるのかもしれませんね。四年前のように」






その言葉はまるで予言のようじゃとその時は思ってしまった


















  
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