「ブンちゃん、四年前になにがあったんじゃ?」
「四年前? なに言ってんだよ」
「哀川友」
その名前を口にした瞬間、ブンちゃんの顔がかなり歪に歪んだ。その顔には怒気が浮かんでいる。
「哀川……の、四年前」
「ああ、知ってるんじゃろ。ブンちゃんならば」
「知ってるぜえ、だが、仁王に教えるつもりはねえよ」
「なんじゃ、意地悪じゃな」
ブンちゃんの顔はかわらず曇ったままだ。四年前、なにがあったんじゃろうか
「あいつ、俺嫌いなんだよ。あんまりあいつの話しふらないでくれよ」
「は?」
「だから、哀川友の話しはすんなって言ってんだよ」
そんなこと
おくびにも出さなかっただろうに
嫌い……なんか?
本当に?
「でさ、仁王。今日の部活だけどよぃ」
ブンちゃんの声が右から左に通っていく。
そのとき、教室の前で、あいつと聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「…………なによ」
「なんで学校きてんだよ、ウゼエ奴だな」
「……………そう、どうも」
「意味わかんねぇよ、お前みたいなクズかどうしていんだよ」
「……………………どうしてかしらね」
「ッチ」
「………………ガラ悪いわよ。あんた達は大好きな全国大会が終わったらガラがガラリとかわるのが趣味なのかしら」
「ってめぇ!」
「なにやってんだよぃ! ジャッカル!」
「………ブン太」
「なにやっとるんじゃよ、お前も」
「……あら、絡まれたから絡みかえしただけよ。それだけ」
「それだけ? なに言ってんだよ、ブス! 死ね、死ね!」
「……確かに四年たってもそんなに人ってかわらないものね、久しぶりにきいたけれど、ほんとかわらないことで」
「っ!!」
「やめろ、ジャッカル。哀川もやめろぃ、またあのときのようになりたくなければな」
「あのとき? あら、どのときかしら。あなたたちにはあのときで表すことが出来ないほど、いろいろなことされてるわよ」
「………どういうことじゃ」
「さあ、どういうことかしら?」
「っテメェ!」
「五月蝿いわね、いつまでも未練たらしくピーピーピーピー、僻むんならあんたの近くにいるでしょう、八つ当たりはやめてくれるかしら!」
…………いみわからん