過去編





「私、なにも取り柄がないのに」

なんで私は学校にいかないのだろうか。病院を退院し、初めての登校日となる筈だった日はとっくに過ぎ去っていて、利き手を使いながら食事をしていた。家族団欒の食事風景。異変は私のせいであるのわかっている、だから辛い。



一般人以下の無能な存在をお父さんは腫れ物を見るような目で私を見る。
お母さんにはなにもしなくていい。お願いだから学校には行って謝ってきてちょうだいとだけ言われた。
愛鶴に謝る、ね。
私は悪くないのになんでなんだろう。
そう返すとそれ以外、お母さんもお父さんも私にはなにも話をふってはこなかった。

はじめてこんなに食事をするとき静かになったのだ。私は肩身が狭くてお母さんをみた。何か喋って欲しい。何もかも他人任せ、他人に望んでばかり。


お母さんは泣いていた。そうだよね、学校に行くのを拒否する子供なんて、助ける必要なんて、ないよね。


「ごちそうさま」


手を合わせることさえしなかった。もう私にはこんな温かい食べ物いただく立場にはないのだ


家からドロップアウトを出したとなって、会社で肩身が狭くなったのだろう父親は母親に誰かのことを早く学校に行かせろと怒鳴っているのを他人事のようにきいていた








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