供述一
「俺は犯人ではない。そして俺より年下は犯人ではない」










俺の名前は忍足侑士や。どうやろ、知ってるかどうかは分からへんけど、俺の名前は覚えて欲しいものやね。あれ、知ってる?有名?なんや知ってるんやな、ならば自己紹介とかいらへんのかな?まあええわ、どうせやしな、さっきも言ったように俺は忍足侑士。関西から来たん、なかなか関西弁が抜けんでなこんなしゃべり方なんや。へっ?珍しい?そんなことをいうのは?面白いお嬢さんやね。俺に気を使わずに聞いてくるやなんて。いや、珍しいわけはないんやけど。こんな状況でこんなに冷静沈着で俺ににこやかに話しかけてくるやなんて珍しいというか居なかったというや。まあ、そんなにこの状態なかなか起こらへんし関わらへんけどな。あー。なんや、ごめんな。まず謝っとくわ俺はお前を助けられへんから。その手錠はなフレックスカフでもないし、警察なんかでは使われる本格的な拘束具やから、鍵がない限り壊れもせんし開けれもせん。俺は鍵を持っとらんから、助けてあげれへんのや。堪忍な。へっ?ここは警察じゃないのか?やて?おーい、こんな不清潔なところが警察のやつなわけないやん、警察にどんな偏見もってんねん。そうやで、ここは警察じゃあらへん。




「あ。よかったです、なんだか悪いことして捕まったかなって思いましたから」
「……うーん、それはあながち間違ってない思うんやけどな」
「それって、どういう意味ですか」
「すまんな、それは言わん約束なんや」
「……そうですか」



他に聞きたいことがあったら出来るだけ答えるで?出来る限りやけど。
じゃあこれから私はどうなるのか?うーん、難しい問題やね、君にとっては重要なところや、でもって俺としてはなかなかに難しい解答を要求されるところやな。まあ答えて悪いわけではないんやけど、しかし答えずらいところや。理由は二つある、一つは俺が君を監禁したんやないからや。やから確実なことは言われへん。確証も確定もないことを俺は言わんようにしとる、それで希望や絶望をされたら困るからな。
理由二つ目、これは本当に申し訳ないんやけどな、俺は君を疑っとる。君が自作自演で、または誰かの協力を得てこんなことをしてるんやないかとな。………眉さえ潜めんとやな。怒鳴り散らすかと思ったんやけど。
今はそんな力を使うことはしたくない?ほんまに珍しいというか強かなお嬢さんやね。怖いぐらいやわ、疑いたくなる、もしかしたらこれは俺に仕掛けたドッキリなんやないかと疑いたくなる。脅かすんだったら跡部ぐらいが最適やろ。うん?いつもポーカーフェイスで通っているから崩したくなるのでは?ってお嬢さん、君なあ、いくらなんでもそう俺を疑わせんといてや。 俺、今内心びくびくやで。ちょっとお嬢さん、小型カメラはどこに仕掛けてるん?!

なーんてな。………ごめん、笑うか思たんやけど、全然や、俺が悪いわ、空気読まへんかった。君が本当にどっきり仕掛けてなかったんやったら、君はこれの一番の被害者なんやもんな。すまん。……別にいいって、ほんまに度胸というか心が広いお嬢さんやな、まあええわ。すまんけどこの質問はやっぱり答えられへんわ。俺、さっきまで分かってたつもりやったんやけど、わからんくなった。すまんな、他の質問はあらへん?


「その眼鏡は伊達ですか」
「伊達やね」
「その口調は大阪弁ですか?」
「少し、東京と混ざっとるかもしれんけど一応は大阪弁やで」

「肉派ですか、魚派ですか」
「どっちも好きや」
「絵文字派? 顔文字派?」
「人により使い分けとる」
「本派?電子派?」
「読めるんやったらどっちでも。でも本の方が好きやで」
「走れメロスの主人公は」
「メロス」
「学級会議とかやったことあります?」
「ないなあ」
「不人気選挙とかやったことあります?」
「ないな、というか不人気選挙ってなんや」
「秋葉原とかいったことあります?」
「ない!」

「ではあなたは犯人を知っていますか?」
「………それは定義によるなあ」


今回の君が手錠で繋がれて監禁されている事件についてやったら、知っているかもしれへん。……定義によるの意味は解釈の自由や、君に任す。けど、これだけは言えるで。俺は君に手錠をかけた人間を知っとる。紛れもなく、この目でな。でも犯人の名前は言えへん。ここも好きに解釈してくれて構わへん。なんで名前を言わへんのかもな。





「では、最後にもう一つだけ、貴方は犯人ですか?」
「ちゃう、俺は犯人やない。ついでに俺は嘘はついてない。信じてや」

「さあ、私は簡単には人を信用しないことにしているんです」

「そう……か」


なあ、お腹減らへん?次来るやつに何か運ばせるわ。何が食べたい?
八ツ橋って、君なあ………。







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