グラタンちゅうのは、なかなか難しいもんやね。
水入れすぎるとサラサラになってもうてグラタンちゅうよりシチューやん。
チーズかけてオーブンに入れればだいたいいける? すごいダイナミックやな。それでええの?
え、ええ! なに、君、そんなにグラタンにこだわりがあるん!? いきなり怒り出さんといてや、びっくりするやろ!
というか、チーズかければどうにかなるって君が言ったんやん!
どこらへんにこだわりがあるんか、作り方からはつかめへんけど。
なんなん、むしろシチューの上にチーズかけて出したほうがよかったんか?
謎すぎるわ……。

ん? お、おう、そうやで、俺が作ったんや。
結構美味いやろー。これでも料理は得意なんやで。
まあまあ美味いですよね、まあまあって、どこまで上から目線やねん!
君はここに閉じ込められてから心持ち強くなったんちゃう?! 強いてるのはこっちやからめっちゃ心苦しんやけど!
やったあって、喜んどる場合か!
むしろ嘆くところやで!
自信作やったのに、めちゃくちゃ自信作やったのに。
そうですかってなんか冷たくない?

……なんかイライラしとらへん?
萩之介となんかあったん? もしかして萩之介が犯人やったとか?

「忍足さん、忍足さんは部活が終わってからここにきていますか?」
「そやけど。そういえば萩之介も鳳も日吉もいつ来てるんやろな? 萩之介は想像つくんやけど」
「………………想像?」
「部活の途中でここに来てると思うんよね…………あ、これあかんことかも」
「部活途中? ここ、氷帝学園に近いんですか?」
「あっちゃー。やっぱ気付いてもうた」
「……もしかして、犯人って……」

やっぱり、そうなるわなあ。そりゃ、俺が言い過ぎたちゅうのもあるんやけど、考えつくの早いわ。もしかして想像してたんちゃう? 人攫いやもんなあ。犯罪やし。

「知ってたんですか?」
「…………」
「知っててどうして助けてくれなかったんですか……!」

そんな怒らんといてな。俺やてこの頃気がついたんやで。しかも証拠はない。なんとなーく、そうやないかってくらいやで? 本当にそうかも分からへん。
だからって女の子が閉じ込められているんだから?
警察でも呼んでこいちゅうんやろ? 初めてや、君が焦っとるんは。楽しそう? 楽しんどるようにみえるって? 間違っとらん。
楽しんやもん。君のその顔も、いつもは澄まし顔しとるあいつのことも。

……性格悪い? 知らんかったん? 御愁傷様。

「なあ、犯人の目的も、君は分かったんちゃうん?」
「…………」
「答えてくれへんの? じゃあ、俺の考察語ってもええ? あいつは、君のこと好きなんちゃうかな?」
「………………」
「じゃなきゃ、こんな大掛かりなことはせんへんやろ?」
「……………………」
「だんまりはキツイなあ」
「…………愛は狡猾なものじゃなければならないんです」
「?」
「打算的で、駆け引きのような、スリル感があるものでなければならないんです」
「君の恋愛観?」
「そうです。押し付けのような恋は、分別の付かない恋は、愛なんかじゃありません」
「じゃあ、君はなんで閉じ込められてん? 殺すためでも愛する為でもないんなら、なんの為や?」
「それはーーーー」

分からへんのやろ?
君は、認めたくないだけちゃうん?

まあ、ええわ。
君が認めたくないんやったらそれで。
でも、自分が思っていることだけで世界は回ってないんやで?
君を基準に世界は回っとらんし、君を基本に回っとらん。
だから君が思っても、真実はこうでしたちゅうのがあるんやで?







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -