ここはどこか?
いきなりだね。そう息巻かなくても。だいたいそうきかれても俺には分からないな。
分からないわけない? それもそうか、嘘をついたことは謝るよ。自分で足を運んでいるんだもんね、分からないわけないか。でも、教えてあげられないんだ。悲しいかな、俺も使いだからね。隠匿すべきところがないわけじゃないんだ。
まあ、ドーナツでも食べなよ。食べなきゃ死ぬよ。空腹は思考停止に繋がるしね。
…………甘いものばっかり? 確かにそれもそうだ。じゃあグラタンでも持ってこさせるよ。
ここにきて、歯も磨いてないだろう? グラタンを持ってきたやつにでも磨かせるといいよ。

…………部活?
部活は問題ないよ? いつもちゃんと行っている。君が心配することは何もない。怒られることもないよ。
違う違う、別に部活が終わってからきているわけじゃない。感覚としては鶏小屋にえさを与えにくるって感じかな。ごめんごめん、言い方が悪かったね。不躾な言い方だった。でも、そのくらい気軽な、気楽な感覚できているんだ。思い悩むことはない。それとも、君としてはここが何処かを予測してどうにか逃げ出そうとしているのかな?
手錠をどうにかしなければ、どうにもならないのに。稀有な存在だなあ。
まだ、逃げられると思っているんだね。
もう君がここにきて何日立つんだろうね。三日は立ってる? 忍足に言われたのか。そう、もう三日も。それなのに君は諦めないんだね。もう諦めたほうが賢明だろうに。忍足にも言われた? 二番煎じは嬉しくないな。
諦めない、か。そっか諦めたりはしないんだ。

でも、犯人は見つからないんだろう?
見つけられないんだろう? 諦めないのに見つかる気配はない。間違えないように気をつけなよ。
…………犯人は教えられない。教えても意味がない。意味がわからない? それはそうかもしれないね。そうでしかない、か。

でも、考えてもみてよ。俺が犯人だった場合本当のこというわけないでしょう? 日吉にも言われなかった?

「……言われました」
「じゃあ納得してくれた?」
「学習力がなくて面目ないです」
「気にしないで。そんなもんだよ」
「…………そうなんですかね」
「どうかした?」
「私は、世界の中心人物を見たことがあります。その人は頭の構造から違うのだと思わされるぐらい頭の回転が速くて、要領がよくて、度量が広くて、面倒見がよくて、絵の中か物語の中にいるような人。そんな人がいるのに、なんだか自分は不甲斐ないなあって思いまして」
「誰もがそんな凄い人にはなれないよ」
「そうなんですけどね。でも、成りたいと思うのはいけないことなんですかね。できもしないのに」
「ねえ、それって跡部のこと?」
「………………」


話したくないか。そっか。ごめんね、深く込み入りすぎた。君と跡部に何があったか、そんなこと俺にきける権利はなかったね。

「別に、その人のことというわけではありません」
「…………そーだね」

頑なだなあ。







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