日吉さんに言われて、私は考え始めた。誰が犯人だろうか、と。この生活を続けて何日がたったかは分からない。でも確実に二日は経過しているのだろう。
もうそろそろ家に帰らなきゃ。初めてここに来て起き上がって直ぐはこの非日常なことに少しだけ興奮していたのだと思う。日吉さんにああ責められるのも、むりない。
薄暗い部屋の中を見回して考えに耽る。一体誰が犯人なのだろうか。皆が犯人なのだろうか。分からない。私は探偵じゃないから。
もし、彼ならこんなピンチものとも思わずに高笑い出来るのだろうに。

少しだけ落ち込む。私ではやっぱりどうすることも出来ない。何をすることも出来なくて、私はくしゃりと頭を掻いた。思いつかない。思いつけない。

非日常に置かれた私の心理状態は可笑しくなっている筈だ。この場面で食べ物をくれたり、優しい言葉をかけてくれる人を本気で疑えるわけがない。口から出任せを言って凌ぐくらいが精々なのに。犯人を探さないといけないだなんて。無茶としか言い様のない。でも見付けなければいけないのだ。警察とはいつもこういう体験をしているのだろうか。それならば私は公務員さんでありながら市民を懸命に守って下さる彼等に拍手を贈呈したい。きっと私が思っている以上に彼等の市民に対する貢献度は高いだろう。私なら出来ない。犯人探しだなんて出来るわけがない。


どうか誰か教えて下さい。擦り合わせた金属の匂いに頭を抱えながら、私はまた一日を終えた


***



供述一
「俺は犯人ではない。そして俺より年下は犯人ではない」

供述二
「俺は犯人ではない。そして俺の前に供述した人は嘘をついてはいない」

供述三
「俺は犯人を見た。犯人は年下だった」

供述四
「俺は犯人を知っている。犯人は俺だからだ」




「俺は犯人やない。ついでに俺は嘘はついてない」

「俺は犯人じゃあありません。そして忍足さんも犯人なんかじゃありません」

「犯人は忍足じゃないかな?取り敢えず日吉は犯人じゃないけどね」

「俺が犯人です。だから、滝さんは嘘をついている」



嘘をついているのは、だあれ














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