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バレンタイン。
女の子にとっては凄く大事な日であるこの日は、私にとっても結構大事な日であった。
まあ、そんなわけで、珍しく朝起きして、叔母さんが出ていく前にチョコレートを溶かす作業を手伝って貰うことになった。
ちなみに叔母さんの起床時間は四時前後、出勤時間は五時半前。
いくらでも、市民の為に働き過ぎなんじゃないかと、この頃特に思う。
漁師さんか貴女は。
私は流石に四時には起きれずに五時頃に起きた、いつもの七時前に起きる生活をしているので、これでも二時間以上早く起きている。
それでバレンタインのチョコレート作り。
……うーん、何年かたって恥ずかしいとか思わないかなあ。
なんて、クルクルと棒状の(なんだったか、名前を忘れたけど)やつでチョコレートの液体版を回しながら、牛乳を足して思っていた。
服装は叔母さんが絶対に汚すからと制服の上からエプロンを着ている。
エプロンはヒラヒラで、むしろ制服なんかよりもこっちに汚れを着けたら大変そうだ。
叔母さんは後ろで若いっていわねぇと、そんなに年でもない癖に牛乳を一気のみしながら一言。
そして、あっ、次は型に流し込んでと言いながらまた一口イチゴをペロり。
朝ご飯を食べていないこっちとしては極普通に羨ましかった。
でも、そんなことをいったところでチョコは完成しないんだし、とカカオで軽くクラクラしている頭を抑えながら、型に入れる。
この時に火を消すのを忘れていて、火傷しそうになったのは、叔母さんから見えなかっただろうから内緒だ。
うむぅ、やっぱり気を付けなきゃいけないなあ。
型に流し込むと、叔母さんは冷蔵庫な入れてラッピングするだけよ。といいながら、パンを加えて出ていった。
なんでパンをわざわざ加えながら出ていくんだろう、漫画じゃあるまいし、と思いつつ、冷蔵庫の高いところに入れる。
高いところにやると、なんだか冷えそうだよね。
パタンと冷蔵庫を閉じる、後は固まるのを待つだけ、らしい。
結構、簡単だったな。
私はラッピング用の袋を取り出して、何度となく折り畳んだ。