「じゃあ何のために大阪まで来たの?」
「知っていますか、今年は逆チョコなるものがあるんですよ」
ふふんと不敵に笑う日吉君。いや知ってたよ?
日吉君が知らなかっただけで結構昔からあったんだからね。
「まさか」
「はい、そのまさかです。チョコ持ってきました」
「因みにその中に樺地君のチョコは?」
「あります」
「のった。よし、君と鳳君と樺地君のチョコだけを貰おう」
「『と言うと思ったぜ、名前。言っとくが樺地のチョコがほしかったら全部のチョコを貰いな』」
うわあ、凄い棒読みな跡部君だ。日吉君の目が若干死にかけている。
というか日吉君が自動再生機みたいになっているのだけど
「嫌だね、私は二年生のもだけを貰うよ」
「『じゃあ樺地共々全部のチョコを貰えねぇな。それよりも今貰ってあとで俺達三年生のだけ棄てればいいだろ』」
「跡部君の手にのせられるものか。君はそう言って私が貰ったという状況を産み出したいだけだよね。あとでチョコを棄てたとして、君から貰ったという事実にはかわらないでしょう」
「『ハン、流石に分かるか、じゃあ良いぜ。見返りは求めねぇ、だから貰いな。折角ジローが睡眠時間を削って買いにいったやつだ。棄てたら呪われるぜ?』」
「……それは怖いねえ。じゃあいいよ、芥川君の顔をたてて貰ってあげるよ。……お疲れ様、日吉君」
「俺、こんなの二度とやりたくないんですけど……。電話すれば俺を通さずとも出来るじゃないですか」
「私は跡部君の電話なんてとりたくない。忍足君から話をきいたときから特にね。それに、跡部君との会話なんて会話になるか分からないし。その点日吉君を間にはさむとスッキリと会話が出来るから嬉しいよ」
「………」
「私を睨まれても困る。言いたいことがあるならば、跡部君に直接どうぞ」