「取り敢えず、私は今から早退するから、早退届の紙出してくれないかな」

あらましを少し喋って、舞得さんに手を差し出すと、まあいいけど、とかえされた。ここでぐずられたら私が困るのでとてもいい感じで物事がまわっていっている。


「でもなんで氷帝の皆さんがあなたを探しているのよ」

「………さあ?恨みが今頃になってわき出したんじゃない?」

「あなた何やったのよ」

「あの人達の可愛いお姫様の化けの皮を剥がしただけだよ」

「……!なんですって?」

「面子ちゃんっていっていたかな、彼女を、潰した。舞得さんの名前を使って」

「………早退届の紙は職員室にあるわ」

「え、酷いさっきはまあいいかって」

「人の名前を使って本当に悪事をしていたやつにかける情なんてありませんわ!さっさと視界から失せなさい!」

「うわー酷い」


感情零の言葉を置き去りにして、私は風紀委員会から退散した。



●●●


「………」

あれ。いきなり止まった?
なんやねん。前で進んでいた日吉君がいきなり歩を止めてしまった。危うくぶつかりそうになるところを必死に食い止める。

止まるんやったら止まるって言ってくれへんかな……。


「どうしたん?」

「いえ、居たので」

「は?いた?」


財前おったんか?
辺りを見回してみてもそんなんおらへん。財前って結構目立つさかい、いれば存在感を放っている筈なんやけど。


「ありがとうございました、忍足さん。探していた人を見つけられました」

「おん、いやそれはええんやけど、どこに財前おるん?」

「いえ、俺たちが探していたのは財前じゃなくて、財前と近い人ですから」


ああ確かに財前の知人を探しているんなったら財前にきいたほうが早いわな

………ん?
待てよ、財前に近い人って誰や?
テニス部やないな。ってことはテニス関係じゃない人?
なんで氷帝がそんな人探しとるねん。


「では失礼します」


ペコリと頭を下げて走り出す日吉の背中に声を掛けようとしたんやけど、結局口出しすることやないなと思い直して口は開かんことにした。



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