「私だって黙認したくてしているわけではないんですよ。ただ、やめさせると切原君のストレスになってしまうので、口を出せないんです。……色欲なんて、気持ち悪い。私には切原君が何故それをやっていてストレスにならないのかが分かりません」


……と。
まあ柳生君にのせられるのはここまでにしておこう。
私としては切原君のことそういう人だと知っていたところだし。
というか切原君の悪癖は今に始まったことじゃない。壊れる前から不純異性交遊の話しは聞き及んでいたところからねぇ。今も昔も彼、そんなに手をつけるのはかわらないらしいし。


それにしても柳生君、切原君のことになると手を焼いていますって感じの顔になるなぁ。
結構、切原君ってキーパーソンだったりして



「切原君の世話も大変だねぇ、私は本当に先輩も後輩もいない部活にはいってよかったよ。後輩を慮る気持ちなんて知りたくないからねぇ」
「いいですね、あなたの部活は。たしか文化系の部活でしたよね」
「あれ文化系と呼ぶのかどうか、ただそこにいるだけって感じなんだけどなぁ」


そのわりには部員は増えないのだけれども、まあしょうがない、かげにあるような部活だし


「そういえば私が所属している部活動何年か前までは廃部になる予定だったらしいよ」
「ほう、それは初耳です。あなた達の部活は潰すにも潰せないところではありませんか」
「それが経費削減ってやつでねぇ、委員会にいれるかとかなんとかいって、部活扱いにならないとか言われちゃって、確かそのときは部員さんも結構いて、でも学校からの要望だしなーどうしようかなーまあいいかって感じで反対運動はおきなかったんだけどさあ」
「愛着が少ないというかどうでもいいって感じなんでしょうか、なんだかあまり好きになれそうにない人種が集まっていたみたいですね」
「まあ、委員会に繰り上げされるだけなんだから事実上廃止になるわけじゃないからねぇ。そう必死にはならないよ。そういえばその頃じゃないかな、その経費削減で部活がどんどん見直されていってるときぐらいだよね会ったのは」
「よく覚えていましたね、そんな昔のこと」


らしい返答だと思いつつ、昔を思い出す。まだ眼鏡をかけていて、困ったように笑うのが多かった柳生君。私達はあの頃出会った。私も今の部活の三年生で、うわあ懐かしい。


「夏休み終わって少したってからぐらいかな、会ったのは。思えば男子テニス部の中で一番最初に会ったのは丸井君を除けば君が一番だったよねぇ」


柳君との交流のほうがこの頃は多いからなんだか柳君と一番にあったような感じがするけど、実は柳生君つながりで柳君と出会ったのだっけ

こう考えてみると柳生君とも仲良くなっておいたほうがいいような気がするのだけれども
まあ、柳生君は、なあ……。





  
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