ワタシは悪くないのです

全く悪くない
悪いのはあの人達であって
私は悪くないのに










パラドックス











「ワタクシは悪くないわ」
「へえ、そうなんだね。それで?」
「ワタクシがどうして虐められなくちゃいけないの?」
「だから、君が馬鹿だからだろうって言ってるじゃないか、虐められるのが嫌なの?」
「ワタクシは虐められても喜ばないって言ってるじゃない、嫌よ。痛いから」
「じゃあ、君が悪いんじゃない?」
「なんでそうなるのかしら、説明していただいてもよろしくて?」
「面倒くさいねぇ」




場所は変わって日曜日の昼。あの日、つまりは植太さんに会ったあの日に私は本当に彼女の細くしなやかな手をポキッと折ってしまい、次の日病院代はいいから話しに付き合えと半ば強引に日曜日予定をつくられてしまった。場所は私の指定で立海付属がある場所から二時間はかかるとある喫茶店。現地集合で、もしかしたらめんどくさくてこないかなと思って二時間も後にきたのだが予定の一時間前、つまりは私が来る三時間前には喫茶店に来ていた。うっわぁだった。
それと友達少ないなぁと思った
暇人だよねえ


そして会ったらすぐに「私は悪くない」

彼女は一体なにを伝えたいのだか。わかりかねる











「だいたい君は自分は悪くないというけれど、じゃあ誰が悪いというの?」
「………それはあの人達に決まっているわ」
「あの人達?それはテニス部の人達のことかな?それとも君の元お仲間さん達のことかい?」
「……それは」
「君は自分は悪くないと言う、でもそれは君が君を評価しているからだ。自分のこととなると自分は自分の評価が甘くなる、君だって悪いってことはこないだ説明したばっかりだから省くけど、それってつまりは甘えってやつだよね、自分は悪くない、相手が悪いんだって。子供じゃないんだからその空っぽな脳味噌の中に私の言葉を刻みこんでくれないかな、植太さん。そして今後一切私に迷惑かけませんって土下座してくれない?君の世迷い言にも似た戯れ言なんか優しくなければ聞いてないんだよ?君の傲慢な主張を終えたら考え直してあげてもいいから、今日はその薄汚い床に頭を擦りつけて土下座してくれないかな?」
「………」
「土下座は?」
「ごめんなさい」
「土下座って言ってるよね。君ってばこの使えなさそうで腐った耳を少しは治したほうがいいよ?じゃないと私との会話の中に円滑にいかない部分が出てくるからね」
「…………っ」
「取り合えず土下座、土下座してくれない?そして、君のナルシズムな思考回路を屈辱的に踏みにじって私は帰るから、まず土下座ね」



植太さんは土下座を始めた。

ちなみにこの場所はかなり人がこない方面で二階の個室スペースだ。もちろん彼女持ち、あまり従業員さんが職務怠慢な性質らしく、汚れが何ヵ所か見受けられる

彼女は額を地面ギリギリに近付けて土下座をした。すいませんと謝られる。私は面白くなくて彼女の頭の上に足をのせて勢いよく床とごっつんこさせた。



「―――――うぅぅっ??!」

植太さんが意味不明な言語を話す、楽しい限りだ。
床にチューしてるみたいだ、あははっ滑稽だな

ちなみに個室は土足禁止なので私はストッキング。
それで彼女の頭をぐりぐりと抑えつけた。いい感じの快感だった。


「なうするんでふうのぅ」

「なに言ってるのかさっぱりだよ、植太さん。ちゃんと日本の言語喋ってよ、あはは。ねえ駄目だよ、日本人なんだから日本語で喋らなきゃ」
「ふあべらふあないようひしへるのふぁあれでふのう」
「私だけど?なにか文句があるのかい?聞くよ?聞いちゃうよ?なんでも言ってくれて構わないよ?ただ、君の生死の保証はしないけどね」


にやにやと笑ってみせると見えないまでも感じたのか大人しくなる彼女。そうだ、このまま話を続けよう。別に私は彼女の声が聞こえるなら、何を喋っているのか分かるし


「で?本当のところなんで私は呼ばれたのかな?前置きはいいから、早く言ってくれる?」
「………っ、むぐうぅぅぅ」
「ねえってば、」
「……てっだって」
「なんだって?」
「手伝って、おねがぃ」


手伝い?
なにを?

まさか

「ふくしゅぅ、するのをぉ、手伝って」


足を退かすと彼女は咳き込んで私を見る。
復讐?
手伝う?


「君、私のことなにかと勘違いしてない?」


植太さんを見ると好戦的な目が私を見ていた。生気が奪われていたこないだとは凄い違いだ。
その目で私を見つめながら彼女は口を開く。彼女はにんまりと笑った。口を開きながら笑った。
私は気持ち悪いと思った

この子、確かに人を踏み潰して伸し上がってきたタイプの人間だ、私のこと、いい駒になるってそう思っている


「アナタはワタクシの下僕、それ以外にありまして?」
「さっきまで踏まれていたのに?」
「そこは今すぐに忘れなさい!」
「なんだか、いきなり偉そうだな」


植太麗子は裕福な方の育ちらしいし、そのせいなのかな


「だいたい、私は君の下僕になんかなる気は全くないよ?」
「そんなの許されませんわ」
「なに、その意味分からないやつ、あー、また踏んでもらいたんでしょ?ほら、頭を下げて、踏んであげるから」
「違うわよっ、いいからワタクシの下僕なんだからワタクシの言うことを聞いているだけでいいのよ」


うーん
なんでだろう、虐めているテニス部のみんながなんで虐めているのかが分かる気がする
私も虐める側にまわりたくなるぐらい分かる気がする


  
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