間違い探しはもう飽きた。
問題用紙を破り捨てて
見上げる先の滑稽さ












パラドックス



















月が照らしている道を進む。隣には柳君が何も言わずに車道の方を歩いてくれていた。
あれから、もう数分がたって今は駅に向かう道の途中。植太諜花さんと別れて直ぐ様あの会場から出たのだがその時からもう周りは月の光が目映いぐらいに光を反射させているのが鮮明になるほど暗くなっていた。

今日はとても月がきれいだ。
そういえば、私は昔から月を黄色いというのに疑問を抱いていた。今頭上の上に爛々と輝いている月の色はどう考えてもクリーム色ではないだろうか?
そういえば丸井君もあの月を見て、クリーム色で美味しそうだよなぁ。とじゅるりとよだれを垂らしていたっけ。

丸井君は大食いというかなんというか、お腹を空かせているとなんでも美味しそうに見えちゃうからなぁ。
幼馴染みとしては、心配な限りだ。こないだ、遠目からジャッカル君をガジガジと噛んでいるのを目撃してしまったし、そろそろあのお腹が空いたらみさかえなくなるのは止めさせた方がいいんだろうな。

とはいえど、彼の癖は直すのちょっと惜しい。
お腹が空いてる丸井君って可愛いんだよねぇ。




「………――名前」
「なんだい、柳君」
「月を見上げて、どうかしたか?」
「月のあの色をなんて言うんだろうって思っただけだよ。ほら、あの色、黄色じゃないじゃないか。じゃあ何色なのかなってね」
「青白、と言うらしいぞ。あの色は。ほら少しだけ青かがっているだろう」
「本当だ。お月様って不思議だよねぇ。見る日、時間帯、季節、によって色や形が変わるんだからさ」
「そうだな。月は、遠目から見る分では美しい」


薄い雲に覆われ、鈍く光を与える月を見ながら車一台も通らない道を進む。所々に光を出す電灯があるが、微々たるものだ。
月の明るさには勝てない


「そうだね、近くで見たらクレーターがボッコボコとあいているんだろうからねぇ。そういえば、月って元々はどんな色をしているのかな? この地球には太陽の光であんなに綺麗な色を見せるけれど、月自体はどんな色をしているんだろう」
「灰色、だと言われているな。よくテレビなどでも月の映像があるだろう。それでも灰色のように見える」

やっと雲から出てきた月はまた光を放ちながら、私達を照らした。あれが元は灰色なのか。
青白い月と灰の色
なかなか創造出来ないものがある。



「ふぅん、じゃあ月も太陽の恩恵を受けているってわけだね」
「いや、それはどうだろう。月にしてみれば太陽の眩しい光を受けて、反射していただけで人間に神秘的に思われ、そして今度は勝手に移住計画なども考えられて」
「月にしてみればいい迷惑?」
「だろう。地球が危ういから、だとという理由で移住されては月も可哀想だ」
「ふふ、まあ、それもそうだね。人間なんて野蛮で下劣で屑とみまごうような存在、惑星とってすれば疫病神に過ぎないだろうしねぇ。地球だって犯している人間が月を犯さない道理はない」


同族であったところで殺し合い、憎み合い、愛し合い、壊し合い、する種族だ。
手の届かない月にさえ、腕を伸ばせないことはない。
背伸びすれば、それは腕にあたるぐらいにはなる。
手は届かずとも、腕は伸ばせる
探求に終わりはないように
破壊活動にだって、終わりはあり得ない




  
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