棺の中を覗く。
顔だけを覗き込めるタイプの棺だ
中には死化粧をした、植太さんが横たわっている。
今にも這い上がってきそうな死体は左目元にホクロがあり、髪は巻いてある髪だったのが解かれていた。

髪色は金髪から地毛の黒に切り替わっている、お葬式ということで染め直したのかもしれない。


じっくりと見る。
写真は髪を黒くパソコンで加筆させられているようだ、本物と見比べても同じように黒々していた。


…―――さて、どうしたものだろうか。

調べるといっても、当てはない。だいたい、死んだ理由だなんて死体から分かるわけがない。

死体から分かるものなんて精々死んでいるかいないかぐらいだ。


それも死体という時点で分かりきったものだしなあ。
他に何を調べればいいのやら、分からない。
(死体)植太さんを写真に写すということをしたいものだけど、流石にそれはマナー以上にルール破りだ。
警備の人に訝しい目で見られるよりも酷いことになりかねない。

しかしその他に、といわれてもなにもすることがない。
なんだろう、別段異常が見当たらないというのが、する事がない主な原因なのだろうなあ。

それくらい植太さんの死体は顔から髪まできれいで、矛盾がなかった。
気になる所も特にない、ただ気付いた所で髪の毛の色が元に戻ったぐらいだ。


「うーん」


こういう時に、一人で考えていると頭が煮詰まってくる。
推理小説の探偵役っていうのはやはり、助手ありきのものだと身を持って知った。
とはいえ、私は柳君を引き連れて探偵役に徹することなんて絶対に出来ないだろう。

いうなればワトソン君がシャーロック・ホームズを助手にしているようなものだ、有能な助手過ぎて扱いが酷く難しくなってしまうに違いないだろう。
私は、アブダクションなんて高難度の推論出来ないしね。


推理と推論を諦めて私はクルリと振り返って、来た道を戻る。

それではそれでは、シャーロック・ホームズ先生改めて、柳君をお呼び致しましょうか



(20110311≠見返りは命よりも重く)





  
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