イ戸は完ゼンに破カイされていた、ボロボロごちゃごちゃ、ドロドロに、壊さレテいた。
かナり古イタいプのイ戸だっタのカシら、ウチ側にツいていタコケシがミずを含んで膨らンでいタ、さながら風船のよウなそノ膨らみハ、イ戸の瓦礫の下ジきとなッて中身を吐き散ラすよウに緑染ミタ色ヲ出す。
人ガよク座ッていたイ戸のフチはカン全にグッチャグッチャにハ壊ノ限リで破カイさレておリ、そノタめ煙突のヨうに凸シた高イ場ショはなク、地面とヘイ行に保タれたイ戸のカわリ果テたスがタは哀愁ヲ誘ッた
まルで、わタクシミたいダわア。
意ミもなク、ソう思っタ
ワタクシはイ戸に腰かける、腰かケるとイっても、地面と平行なタめ、地めンニ座っていルよウな感覚がしタ。しカし、井戸の縁の部分があった場所ノシたはシめっテいて、短かっタすカートの上をコれデもかト濡らシた。
ミ上げルと黄色イ半月ガ夜を照ラシ出ス、黄イロ、雅治の目のようナ色。ソう思ウとホッこりシた気持チにナる。
マるデ、雅治二看取ラれテいるヨうナ、そンな気になった。
井戸ノ中に顔ヲ入レて覗き込むと月が反射シて半月が綺麗二映っテいタ。
そウいエば子供ノ頃にオ母様と一緒にツきを見二行キまシたワね。
妹達は乳母二任セて、ヨくオ母様は私は連レ出しテ来てくれタ。
お父様ハ……ワタクシは苦テでシたケれド、お母様ハ大好きでしたワネ。
ヨく、オ月見にイきまシょうと誘ッて、そノたんビにお父様は誘いヲ断っテ、ワタクシとお母様ト二人きリでお月見ニ行っテいタ。
水面二映ル、半げツを眺メる、美シい光景ダった。
昔モ、イまも
「ツきはカワリまセんわネ」
マるで初メて見タときノ立海のてニス部ミたイに、綺麗に輝いてイる月。守リたクて、守リたクて仕方ナかった、届カナい場所
何処デ間違えテしマっタのかしラ
なンて首を捻ッて、生前最後のジ間ヲ惜しム。
ツキは水面ヲゆラユらと揺ラめク、ソの二はワタくシの姿モ、うツ――――?
ウつっテ、いる?
こレが、ワタクシ?
水面二映ッてイたノは、おでコが、見エてイる、ワタクシ?
な、なンでナンでナンデナンデ――…?
目を凝らシて見テみルと、巻いてあったはズの髪も無造作二切り取ラれてイた、まるでそウ、今日保健シツでみタあノ夢みたいに
雅治ガ鋏ヲワタクシにした、とキ、みタいな
髪ガタ二、なっテいルわ
手ヲすぐ二おデこにアてる、なンにもナかった。イつもあルはずノ前髪がスぱっと取り除かレたヨうに消え去っテいタ。
巻いてアったハずの場ショを触ル、斜メに切らレていル。引っ付かんで眼球に近付けるト、鋏カな二かで切ラれた後のヨうな綺麗な切二口二なッてイた
ド、どうして?
だっテ、アれハ夢で
ゲン実じゃア、なイはズなのに
ナんデワタクシノ髪はキラれて、ルの?
なんデ?
ドうシて?
もしカしテ
もシカすルと
あレは、まサか、夢ジゃ、ないの?
アれハ、夢じゃ?
ポケットカらハンカチヲ取り出ス。
黒イ黒イハンカチ、雅治が刻んでいたハンカチ、デも刻まれていタ様子はナい。
デも、それなら何故、ワタクシノ髪は切リ刻まレていルのカ。
寝るマえ、夢がもシ本当二あッたもノだとしたら
ハンカチは黒イハンカチさえあれば、いくラだっテ替えが利ク
ダっタら、本当だったら
ダっタら、ワタクシは―――――!
「――――――ッゥ!」
滑ラナいように掴んデいたイ戸の端が欠けテバランスを崩した体が揺らメく、思考回路でショートしテイた体が思イ通りに動かナい、しかし反射シん経でミぎと左のイ戸の端ノ部ブんヲ握る。そこを握るとマるデ蜘蛛が糸をイ動するヨうにテが広がッていル。
体制ハ安テイしテはいなイが、取リ敢エずイ戸ニ落ちルことだケハ回避デきた、とホッとしたのもつカぬ間の直ぐサマ両手の掴ンでイた部分がポロポロト崩レ始メた、壊れ始めタラ後ノ祭リで両手が勢いヨく、壊れはじめた場所ト一緒に落チていった。
支エがなクなったワタクシは
足ダけでハ支えキレなクなったワタクシハ
井戸ノ中に落チるしか、ナい
堕チルしか
墜チルしか、ナい
手ガ先に落下しテいッテ足がサイ後についテクる。
コンな状況デキタ道を戻ル?
そんなコと出来ナ出来るハズナい
もウ後ハない、コこが崖ッぷチ。
ワタクシハ崖かラ足を踏ミ出しタ
踏み出した先は井戸の中、冷たい水に濡れテ、生マれて来る前ノ心地に見舞われた
冷たイ、冷たイ
頭がクールになっていく
語源ガ一時的にハ統一されル?
そウ言えば、彼女の名前、本当ニ苗字とイウのカしら?
まさはルが、言っていたトおりに
なんテ疑モン、口ノ中に水ヲ飲みコンデいる間にモウナクナッチャッテシマッタノダケドね?
(20110215≠これがワタクシの戦わずに勝つための最後の方法なのに)
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