私は袖を振った。
この部屋は暑い、ムンムンとくる暑さに頭が捩れそうになる。脳ミソの中に熱さが込もってグルグル回っているようなイメージがする。
熱い
一言でいうならそれに尽きる。
とりあえずは、服を脱ぐという打開策を打ち立ててみた。
そうしたら、シャツのボタンを2つ開けるというところで柳君に止められた。



「あまり服を露出するのはいい趣味とは言えないな」
「ふふ、そうかな?」
「ああ、この状況なら尚更な」
「それはどういう意味だか聞いてもいいかな?」



彼の目が細く開く。長い睫毛からは鋭い目が見え隠れしていた、まるで猛獣のようだと表現すれば大袈裟過ぎるかも知れないがそれぐらいの迫力はある。
王者と連なって言われていたいうのも頷けるものだ。


「言わせる気か?」
「言わない気かい?」



わざとらしく首を傾げると柳君は薄く開いていた目を閉じた。
彼の腕は私の背中にある壁を捉え置かれる
一枚先が廊下だ。
柳君の長袖から見える長い手首を探るように見て、向き直る
向き直ると目の前には目を閉じた柳君が私の方を見ていた



「ベットはないとはいえ内側から鍵が掛けられ密室。居るのは俺とお前だ、ほの暗い部屋の中。何があってもおかしくはないだろう」
「そうだね、確かに何かあっても可笑しくは、ない」


彼の腕の長さが縮まる。
それは腕が切れたとか物騒なことではなく、柳君が肘を曲げて、まるで私に体を重ねるように近寄ってきたということだ。

個室であるし、それなりに広い場所である筈の部屋の中でドアという限られた場所に寄っていっている。なんとも第三者からは見れば不思議な図であること間違いなしだろう。


彼の顔が近寄る
自然に吐息が耳にかかる
体をピクリと揺らめかせると彼の口元が緩く円を描いた



「そんな中だ。お前は首元を露出する、何か言われたいように思えるな」
「女の子はいつでも言葉で表して貰いたがる生き物だからね。ふふ、知っているかい?女の子の方が言葉に対する依存率が高いんだって。言葉を出さなくちゃ、女の子は依存出来ないのだけどね」
「からかっているな」
「いないとでも思った?」


強がって受け答えしていると彼の赤い舌が首を這う、チクリと痛みが首元から伝わりジンジンとした熱が首から頭に上る、柳君を見ると私より頭一つ分は確実に大きいその身長を屈ませ、私の視線と視点を自分の視点と絡ませるようにして首元に痛みを与えていた



「人が悪いやつだ」
「人が良くたっていいことなんかないからね」
「減らず口」
「減らない口なんて楽しくないからねえ」
「意地っ張りめ」
「意地っ張り?酷いねぇ」


しっとりとした熱い吐息がドクドクと流れる血管の流れる首を詰るように、撫でるように伝わる


同い年である筈なのに、柳君、バリバリエロスティックである。吐息だけでアニメとかで規制されそう。

今は、ただでさえ厳しい規制を作ろうとしている最中であるのにこのままいけば柳のやの字が出てきただけで画面がブラックアウトしてしまうと言っても過言ではないだろう
…いや、それは過言か


柳君は目を細め、舌で赤くなった部分をすうっーとなぞる。



「構って欲しかったのか?」
「当たり前だよ、当たり前のことを聞かないで欲しいな」

「……全く、可愛い奴だよ」
「……!」



びっくりしてしまった。
舐められていた首を揺らす、それが合図というように首元から柳君は艶やかしい舌が離れる、舌の先には紅い液体がついていた
どうやら舐め過ぎて傷口から血が出てきてしまったらしい






  
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