きっと君は私のことが嫌いだろう

それはしょうがない、だって私は好かれる人間ではない、好かれる人間になったつもりもないしね。

だからといっても私が君のことを嫌いだなんていってないよ










パラドックス















「植太麗子、3-H、性別は見たのならば分かるだろうが、女だ。6月10日、双子座、体重は48kg、身長156cm、血液型はAB型、愛用の香水はラベンダーにバラの香りと百合の香りを混ぜたもの、髪型はクルクルと巻いてある髪が特徴的で髪の毛の色は金色、もちろんながら染めているから1ヶ月に一回は染め直している。リップは桃色に近いピンク、ファンデーションはシャネル、家は有名な化粧メイカーで、家族構成は母、父、植太麗子、そして妹が二人だ。ちなみに妹は氷帝と四天王寺にそれぞれいる。二人とも姉に似てミーハーらしい、こないだ四天王寺中学から連絡があった。かなりあちら側も苦労しているようだな。学校服は改造してあり、スカートの丈が27cmあったらいいほうだろう。登校靴はブーツ、先生が指摘してもかえないところからするに気に入っているらしいな。好みのタイプは仁王のような男、プレゼントは高い物ほど喜ぶ。自分のことをお姫様と思っているふしが多々あるようだ」
「すごい、本当にデータマンだね。確かに聞いていたけどここまでとは思わなかったよ、流石参謀さんだね」
「どうってことないさ、この頃特によく植太麗子について聞かれるから調べているだけだからな」
「それでも凄いよ、ふふふ、偉い偉い」


暁に染まる綺麗な夕暮れ、立海大付属の大学部の少し外れた場所にある古井戸。薔薇が巻き付かれているその井戸に腰かけて、私は彼の綺麗な声に耳をすましていた。

彼――柳蓮二は私のちょうど反対側にノートを広げながら腰掛けており、その声は落ち着いているというよりも澄んでいるという方が正しいだろう。彼の声に聞き惚れながら私は彼に賛辞を贈る。

よくもまあ、彼女について調べられるものだとよく思う。


「しかし、何故お前が植太麗子について知りたがるんだ?」
「少し事情があってね、こればっかしは困ったことに自分で解決しなければいけなさそうだし、まず敵について知っておこうと思っただけだよ」
「事情?」


柳君は首を傾げる。首だけ振り替えっている私には麗人が困っているように思えた。かっこいいねえ


「そう、ある事情だよ。深くは言わないけどね、ちょっと厄介なんだよ」
「……厄介、か。」
「信用ならないように言わないでよ、傷付くなあ。本当に今回は厄介なんだよ」

なんて、そんなことで傷付くような心なんてもはや捨てたのだけど


「信用していないわけじゃないさ、だがお前が厄介だと言うのをはじめて聞いたからな。仁王のことも、丸井のことも、片手で済ませるような余裕を持っていたから」
「あれは色恋沙汰だからだよ、今回はそうはいかない。ふぅ、嫌だね。困ったものだよ」


というか、私はそんなに片手で色恋沙汰を操ってなんていないのだけどね。

いや、これは嘘か


「大丈夫か?」

首だけ後ろを向いている私に柳君は私を見らずに言う。

「大丈夫に見えるかい?」
「疲れているようには見えるな」
「そうかい?うーん、やっぱり疲れているのかな」
「ちゃんと休んでいるか?」
「ちゃんと休めてはいるよ、ただこの頃嫌がらせが多くてね、精神的にきているんだよね」
「嫌がらせ?」

その言葉で柳君はやっと振り返る。
目が合うと表現よりも、正面を向き合ったというべきだろう。彼は糸目で私には瞳というものが認識できないから。



  
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