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――――金曜日、放課後

二つの影が教室の中にポツンと浮かび上がる。

一人はスーパーの買い物袋を手にしている。

もう一人は時間を確認していたのだろう、折り畳み式の携帯を手に握りしめるように持っていた。


女が口を開く。


「えっと、話ってなに?」

「あ、うん。えっとな」


男は自分の髪をポリポリと掻く。いい淀んでいるようだ。それほど重要なことなのだろう、女が息を飲む。その息遣いが伝わったのだろう、男も息を飲む。条件反射であろうそれは男に酸素と緊張を与える


「俺は丸井ブン太。お前のクラスの隣だぜぃ」

「うん、知ってる。丸井のことぐらいね」

「そっか」


男は微笑む、よかったーと、嬉しそうに。緊張がとける。男は座っていた机から飛び降りるとニコッと笑い女に近付いた。


「なら話ははやいぜぃ。俺と結婚を前提にお付き合いして下さい」


いきなりのその言葉に女の顔が百面相をし始める。クルクルと代わる女の顔を見て可愛いなぁと頬を緩ませる男。この教室にはまともな奴がいなかった





















「あれ、途中半端な終わり方だね」

「まあのう、流石にこれ以上は書くのがめんどくさくなったんじゃ」

「せっかくいいところだったのに。あと一押しって感じだろう?」

「かもしれんがめんどくさくなったんじゃよ」

「……そんなこと言って実は前の丸井のやつ読んで書く気がなくなっただけだろう?」

「別にそんなんじゃなかよ。本当にめんどくさくなっただけナリ」

「ふぅん、そう。で、どだったかな広瀬さんは?」

「プリッ」

「ちゃんと答えてよ、あとは君だけなんだから」

「別に俺はいいぜよ」

「へぇ、そうなんだ」

「………」

「まあ、いいけどね。俺もあの子のこと好きだし」

「なに考えちょる、幸村」

「なんにもだよ、じゃあ。日誌は今日で終わりにするね、お疲れ様。《真田》」






(真剣な話の金曜日)












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