はじまりはじまる


間違いだらけみたいね。
そんなとこも好きだけど

なんちゃって、ねえ












輪道 奏愛(りんどうかなであい)が転校してきたのは、ある夏のことだった。テニス部の全国大会が終わり、この四天王寺中学も落ち着きを取り戻しつつあったなか、その美少女はまるで嵐のように(というのは言いすぎか)やってきた。
髪の毛の色は綺麗なハニーブラウンで瞳の色は髪の毛と同じ澄んだ色。鼻筋ははっきりしており唇は柔らかく桃色の色を出していて、パッチリとした睫毛、きりっとした眉毛、長い髪はツインテールに結ばれており、髪飾りは彼女の髪の毛の色と合うような薄い合うピンクで、艶やかな腕に細い手首、悩ましい太ももをこれでもかというほど引き出している靴下に可愛らしい彼女の手の十倍はあろうかと見えてしまう学校専用のバック。

声は透き通っているというよりも可愛らしいイメージを植え付ける。うんまさに天使様といったところだ。仕草はいちいちが守ってあげたくなるようなもので、笑うと朗らか過ぎて太陽さえものかしてしまいそうになるほどの明るさで

そしてなにより、性格がいい。悩み事があるなら話しを聞くといい、勉強ができ、話しかけられたらすぐ可愛い顔でにこやかに返して、先生からの受けもよく、男子生徒からの受けもいい、このままいけば二つ名が<天使様>になりそうだね。ふふふ、まるで女神じゃないか。いいねぇ、堕落させがいがあるってものだ。

ちなみに彼女、女子からの人気はそれほどない。妬みというか、彼女達がいうには“輪道さんってなんか、気持ち悪いんよ”らしい。気持ち悪いねえ。確かにあんなに理想的な女の子がいるとしたら気持ち悪いと思うのも頷けるというものだね、うん。納得だ。それに、どこか芝居かがっているように見えるのだろう、いわゆるぶりっこにみえるんだろうな、彼女達にとってすれば、うーんわかる、わかるよ、まるで作り上げられているような人格で、その容姿偽っているようにしか見えないよねえ。

それはともかく、彼女は転校してきた。まるで運命のめぐりあわせのように、この男子テニス部全国大会ベスト4の四天王寺中学に。
この楽しんだもの勝ちの、誤った性格をしていなければ入れないであろう、四天王寺中学に<天使様>は運命の巡り合わせによって転校してきた。

或いは悪魔の囁きで、かもしれないのだけれども


などといったところで世界がどるなるわけでもない、そう思った私は取り敢えず思考を移した。輪道さん、つまりは転校生の彼女のクラスは所謂私と同じクラスというやつで、つまりはクラスメートだった。私としてはかかわり合いを持たれたくないため、半分以上保健室にいるのだが、このままではそれさえも無駄に終わってしまいそうになった。彼女、輪道さんはかなりのお節介らしい。保健室にいく私を気にかけてはよく喋りかけようとしてくる、まあその前にあの後輩殿が来て台無しになるのだけど、この頃それも怪しくなってきている。
恐るべし、輪道さんの美貌ぱわー。

女嫌いのあの男にまでその効果が聞くとは私も気ほどとも思わなかった。
だからといって、彼女が楽しければいい。輪道さんがちやほやされて幸せでみんな大好きだよ、みんな幸せになって欲しいの!みたいになってくれたら、私はそれだけで幸せになれる。だって、そんなこと言ったところで彼女は皆を救えはしないのだから。


喜劇は悲劇に

私の座右の銘はいつもどこでも発揮されているんだよ。





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